30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい 豊田悠
絵で読む
雪と松 高橋秀武
コマ割りが独特、吹き出しが独特、絵柄も大凡BL作品とは思えない劇画チックさで、読む人を選ぶ作家なのかな?と思いますが、ワタシ個人的には大好きです。 1ページ四コマ、台詞は少な目ですが、一コマ一コマが一枚の絵として成り立っており、絵を読む漫画では無いかと思います。 BL漫画といえば、性描写が近年露骨になっており、もはやポルノじゃないのか?と思えるモノが多いのですが、高橋秀武の描写の素晴らしい事。 漫画なのに比喩(波)で表現されたそれを初めて見たときは、はっとさせられました。 またギリシャ彫刻かよ、とみまごう描写により、ポルノ的なエロさを感じないのです。 あえていうなら、芸術的エロス。 恐らく、ご本人もそのあたりを目論んで描いているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?(知りませんね…) ラストシーンはものすごく良かったです。 時代に流されぬ、二人の深い愛を感じました。 天才か。
物語は漢方医の松庵が、雪の日に見つけた死にかけのゴロツキを「雪さん」と呼び面倒を見るところから始まる。
1巻だけ読んだときはピンとこなかったものが、3巻通して読むと本当に素晴らしかった…!
2人の生い立ち、雪と兄貴の関係、すれ違い、捨て子との出会いと別れ。そして老後。
2人の心の繋がりが強くなっていく様がじっくり描かれているのはもちろんのこと、物語が進むにつれ弟弟子、父親、陰間時代の友など、過去に2人に関わった人物たちが登場し、2人がどんな人生を歩んできたかが立体的になるのが見事。
色気のある線と、版画のような白黒の対比がとにかく美しい。
江戸末期から明治にかけての時代描写も素晴らしいので、BLとしてでなく1つの歴史人情ドラマとして読んでみても楽しめると思います。
(画像は1巻1話より)