海上保安庁の船員である23歳の青年の体験。船員になって間もない夏、休暇のスケジュールを道東にいる親友に伝え、小樽まで迎えに来てもらう約束をした。親友は高校時代から仲の良いお人よし。 二人は約束の日、久しぶりの再会を喜び昼食を済ませると夕方に札幌を立ち、一路地元を目指したのだがその道中、怪談好きの青年は怖がりの友人にある悪戯を仕掛けようと思いつく。見えもしない幽霊が見える振りをして、翻弄してやろうと……。軽はずみなジョークのつもりだったのだが、思いもよらない結末が待ち受けていた。
経営者の高橋さんは、元来幽霊お化けには否定的な豪放磊落な性格だった。ところが、ある時期から妙な夢を見るようになった。見知らぬ古い座敷に布団を二組延べて寝ている夢なのだが、カリコリカリコリという音が聞こえて目が覚める。横に寝ているとばかり思っていた妻の姿はない、音は切れ切れに妻の布団の脇にある衝立の向こうから聞こえてくる。気になった夢中の高橋さんは思わず衝立をどかしてみると、長髪をザンバラに振り乱した老婆が、何かを両手でわしづかみ歯を立ててガリガリとかじりつく様を目の当たりにする。初出:オーディオブックCD 「実説 城谷怪談撰集 九」収録
ある女性が中学生の頃に体験したエピソード。彼女が通っていた中学校には、代々学校の七不思議と呼ばれる怪談が伝わっていた。中でも放課後四時過ぎに、校舎四階の女子トイレから現れるという「まゆみちゃん」という小さい女の子の話は、自分達でも呼び出せるという曰く付きだった。実際に怪異が起こるか試してみようということになったのだが、不可思議な事は起こらない日々。遂に彼女が試してみることになるのだが、夕暮れの校舎の廊下に現れたモノとは。初出:オーディオブックCD 「実説 城谷怪談撰集 十一」収録
実体験に基づいた、あなたの身近にひそむ恐怖体験を新作描きおろしでコミック化。面白半分で心霊スポットを訪れた者へふりかかる恐怖、安息の地であるはずの住宅で毎夜起こり続ける怪異、何度元の場所に戻してもついてきてしまう日本人形など、この世に強い怨みを残した怨霊にまつわる10作品を収録。原作は、幼い頃から自身でも不思議な怪体験に遭遇し、全国各地から聞き集めた数百にも及ぶ実話怪談・奇談を持つ怪談師、城谷歩(しろたにわたる)。怪談師がライブ会場で生み出す迫真の語り、臨場感を、戦慄作画を得意とする漫画家陣の手によりトラウマ級にビジュアル化。背筋も凍る恐怖を味わいたいあなたにおくる、本当にあった怖い話をお楽しみください。【収録作品】1. ジョーク(全三話) 作画:摩周子2. Iさんの話 作画:こにし真樹子3. 子取ろ 作画:池田鷹一4. バタトンネル 作画:はれ5. もう寂しくないよ 作画:まやひろむ6. この子そんなに怖い(全三話)作画:逢川沙伎7. 薄野交差点の花魁 作画:津久井直美8. 魚溜の滝ーうおどめのたきー 作画:蛇香妖市郎9. ドーベルマン 作画:摩周子10. 消える鍵 作画:美山薫子本コンテンツに収録の作品は、単体発売されている内容と同じです。重複して購入されませんようご注意ください。