非の打ち所がない女性・千原との見合いを何度もすっぽかして旅に出続けている雲平。千原が元大学教授の夫人ということで意識の高い相手かと思い、パンクした頭を冷やすために、来るとわかる度に旅に出ていたのだった。雲平の家族は「あんな奴もうほっときましょう」と言うが千原は「絶対に一度はお見合いさせていただきます」とあきらめない。雲平の妹は雲平に「おことわりするならちゃんとことわったらどうなの」と泣きながら責めるが…。
五十嵐進吾は遊山駅を担当している入社2年目の駅務員。柵を越えて駅に入る乗客を注意して突き飛ばされたり、落し物を届けてくれた人の連絡先を聞き逃して駅掌の成田源太郎・通称ナリゲン師匠から怒られたりと様々なことが起きていたが、ある日駅前にある『ちくま菓子店』の高代由留からナリゲンの体の具合が悪いのではないかと尋ねられる。商店街の人からは手術で入院と聞き、日頃から厳しくされている進吾は入院してくれるならありがたいと思うが…。
犬のどん兵衛のご主人、並木ルリちゃんは売れっ子少女漫画家。その元にある日、男性アシスタントが現れた。寝泊りが一緒なので男は困ると担当に抗議するものの、担当からは、原稿を手伝わせてはやく原稿をあげてほしいと押し切られてしまう。どん兵衛は「ちょっとでも変な気配をしたらかみついてやる」と構えるが、そのアシスタントは腕は確かで、炊事家事洗濯までそつなくこなしてしまう。だがその男性は担当も名前すら知らない素性不明の男だった。
「私の夫になってください……」村で唯一の医者・ごんべ先生は、結婚生活一ヶ月たらずで未亡人になってしまった由起江の診察に訪れる。夫を亡くしたショックと心労、さらに慣れない田舎生活で体調を崩す毎日。姑のリンにも迷惑をかけてばかりだと由起江はますます塞ぎ込んでしまう。さらに追い打ちをかけるように由起江の両親から「東京へ帰ってこい」と連絡が入る。由起江の体調を心配したごんべ先生は由起江の様子見を兼ねて診察に訪れる。そこで由起江からプロポーズされるごんべ先生。突然の事に驚いたごんべ先生だが、じつは……
田舎の村で唯一の医者である「ごんべ先生」の生活を描いたほのぼとした漫画。日本昔ばなしのような絵柄と、自然の美しさが素晴らしい。人々は素朴でありながら、少し閉塞的な部分もあり、その辺を現実的に描いているかと思えば、突拍子の無い話もあったりするのが、この漫画の魅力かもしれません。田舎のゆったりした時間の流れの中で、ごんべ先生の人柄が活きていると思いました。