神戸に住むドイツ領事の息子のアドルフは、パン屋の息子でユダヤ人のアドルフを通じて、アドルフ・ヒットラーの秘密を知る。その秘密とは…!?第二次世界大戦を背景に、三人のアドルフの運命を描く著者の代表作・第一弾。
蘭学医・手塚良仙の息子の良庵と、府中藩士の伊武谷万二郎は、美女・おせきをめぐって犬猿の仲。そんな最中、良庵は適塾で蘭学を学ぶため、大坂へ旅立つ。幕末に実在した著者の曽祖父をモデルにする長編歴史作品・第一弾。
太平洋戦争の末期、戦火にさらされた大阪の町で、すきっ腹をかかえながら好きな漫画の道にうちこむ一人の少年がいた……。表題作「紙の砦」他、巨匠手塚治虫が青春時代の思い出を綴った6編を収録して贈る自伝的作品集!
南米カニヴァリアに進出した大手商社の江戸商事。新支社長として赴任した日本人は専務の懐刀であり、元力士志望という変わり種であった。そんな彼がカニヴァリアの地で目にしたのは…。苛烈な競争社会を描く第一弾!
名前も住所も謎につつまれている“ミッドナイト”と呼ばれる男は、もぐりで深夜のタクシードライバーをしていた。お金を稼ぐその理由は、自分の起こした事故のせいで脳死状態にある女友達を、何とか助けるためだった。
女優、デザイナー、そして芥川賞作家と、まるで昆虫が脱皮をくりかえすように次々と華麗な変身を続ける女、十村十枝子。はたして彼女は神が作りあげた天才なのか、それとも!?ヘビのように貪欲な女の執念を描く野心作!
やり手のディレクター、門前市郎がスカウトした新人歌手、小百合チエには門前自身も驚くような“秘密”があった。彼はこの秘密を利用して芸能界に君臨すべく策謀をめぐらせるのだが…。異色のSFドラマ、ここに登場!
さいはての地、北海道は壮瞥村へやってきた流れ者、井上昭和は、そこで地殻調査に執念を燃やす一人の男と出会った。“昭和新山”の観測に賭ける男たちの姿を描いた感動の名作「火の山」ほか4編の短編を収録した作品集。
ある日突然、サラリーマン氏の鼻にスッポンが食いつき、はなれなくなってしまった!女房は怒るし、部長はワメく、頼みのカミナリ鳴ってはくれぬ……。軽妙な語り口に、鋭い風刺をこめておくる、ナンセンス短編集!
手塚治虫で好きな作品ってなに?トークをした時に「アドルフを告ぐ」と言う人が必ずいるじゃないですか。なぜかやけにツウっぽく見えるんですよね。ずっと気になっていたのですがようやく読みました。面白い!ですが、私の一番はこれじゃないな…というのが率直な感想です。 ヒトラーの話というのは知っていましたが、他に2人のアドルフが登場する、物語の半分は日本がベースになっている、中東戦争まで描かれている…などなど、あまりのスケールの大きさに驚きました。それにミステリーとしても人間ドラマとしても読み応えがすごいんです。どんなに風呂敷を広げても最後まで面白いってまさに神業ですよね。私が読んだ単行本には手塚先生のインタビューが収録されていて、もっと描きたいエピソードがあったとおっしゃってましたが、もう十分すぎるくらい完璧ですよ…!と思いました。