恋するシロクマ

食べ物じゃない君を愛してる

恋するシロクマ ころも
野愛
野愛

壊れるほど愛しても3分の1も伝わらないシロクマの愛に切なくなったり、優しくされて愛されてもなお恐怖が拭えないアザラシにもどかしくなったり。 かわいいかわいい絵柄でほのぼの癒し系コメディの形をしているけれど、なかなかどうして壮絶なラブストーリーです。 食い物であるはずのアザラシに恋したシロクマ。天敵であるはずのシロクマから熱烈な求愛を受けるアザラシ。どちらも必死なんです。だからこそ笑えるし、だからこそ応援したくなるんです。 でも、どちらか一方に歩み寄れというのも無理な話なのでやっぱり切なくてもどかしくなります。 人間同士のラブコメディだったら、いやいやいい加減信じてやれよってアザラシに言いたくなるし、シロクマ怖がられてるんだよちょっと考えろよって言いたくなっちゃう気がします。動物だからこそどちらの気持ちもわかって狂おしくなっちゃう!! 人間同士なら食うか食われるかなんてわかりやすい生と死はなかなか起こらないけれど、信じる裏切られるの怖さは常に付き纏います。 信じてもらうための手っ取り早い魔法なんて結局なくて、怖がられてもシロクマみたいに「君が好きだ、大切だ」と言葉を尽くすのが一番の近道なのかもしれません。 同じ動物でも、同じ人間でも、わたしとあなたは違うから。信じてもらうことを諦めちゃいけないし、受け入れてもらえるのが当たり前だと思っちゃいけない。 シロクマみたいに真摯に愛を伝えないといけないですね。

ゆるさば。

子煩悩父ちゃんの冒険の夢 #完結応援

ゆるさば。 関口太郎
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『ゆるさば。』ロスです。 登場人物みんな幸せそうなエンディングに、私は一人寂しさを覚えています。終わっちゃうの……? 父ちゃんと三人娘の、退行世界冒険記はとても自由で楽しくて、娘達の成長も頼もしくて……でもその中でも一番楽しんでいたのは、やっぱり父ちゃんだったと思います。 私はおじさんで独身者です。休日には一人、雑木林にきのこを求めて分け入るくらいには冒険好きです。いまは一人でやっていますが、もし家族がいたら……息子でも、娘でも、自然の冒険を教えるかも。だって子供の成長を見るのが楽しそう。 だから父ちゃんが三人娘を遊ばせて、時にウンチクを垂れてうざがられても動じない感じ、分かる。 そう、私はこの作品を、父ちゃん目線で読んでいたのです。だから、読み返して一番切ないシーンは、冒険の終わりを躊躇って、本当に終わりでいいのか?と聞く父ちゃん。ツムギとモモと、リンの「三人娘」との旅の終わり。 この作品、例えば家族でキャンプとかしたくてキャンピングカーを買ってしまうような、子煩悩な冒険好きには凄く同感してもらえるかなぁ、と思うと同時に、そういう人はラストで、私と同じ様に絶対泣くね。