世話焼きマフィアと薄幸少女

大可愛了(めっかわ) #1巻応援

世話焼きマフィアと薄幸少女 久遠アユム
兎来栄寿
兎来栄寿

『100回抱いて、わからせる』『狼ダーリン小悪魔ハニー』の久遠アユムさんによる新作です。 母親が彼氏に猫をプレゼントしてペット可物件に引っ越す費用のために売られた15歳の少女。そんな彼女に桜都(おと)と名前を付けて引き取ったのが、マフィアのボス楊昇龍(ヤンシンロン)。 基本的には地位もお金もあり強くて頼れるスパダリ的存在の昇龍。 「18歳になったら高級娼婦として売る」 「お前はあくまでも商品」 と口では言いながらも、内心では献身的で健気な桜都に一瞬で絆されていく昇龍が堪りません。それでも、何とか外面を保つために必死で平静を装うさまはいとおかし。 桜都は桜都で、外見のかわいさもさることながら不憫な家庭環境で育ったが故に些細なことに逐一感動してくれるさまや、慣れない環境の中でも自分にできることを必死でやろうとしてくれる姿がいじましく、昇龍でなくとも「お前は俺が幸せにしてやるからなっ……!」と思わずにはいられないでしょう。 昇龍にぞっこんな婚約者である麗華(リーファ)や、昇龍とは違うタイプのイケメン・ミカ聖川(きよかわ)など続々とクセと魅力のある脇役たちも登場して物語を盛り上げてくれます。 「豪奢な天蓋付きベッドは子供の腎臓2コ分」 など、かわいく乙女向けな世界観の中に時折表れるマフィア的な価値観のギャップが面白いです。 とにかく久遠アユムさんの絵が可愛くて魅力的ですが、個人的には特にデフォルメ桜都が大可愛了(めっかわ)です。 強面なイケメンが自分にだけ特別に優しいというシチュエーションが好きな方にお薦めです。

人は見た目が100パーセント

ヒト科ジョシモドキによる美の考察

人は見た目が100パーセント 大久保ヒロミ
ゆゆゆ
ゆゆゆ

作者さんの想定通り、漫画で読んで勉強になる。 勉強になるだけでなく、おもしろく読める理由はやっぱり、おしゃれ研究の結果がまるで、自分自身がやったあとの結果を見ているかのようだから。 私だって願わくは、朝の登園時間帯にすれ違ったお子様連れのお母様のように、ばっちり素敵メイク&素敵ファッションをして過ごしてみたい。 子どもがいて、さらにばっちりだなんて、何時から起きているんだろう。 でもあのお母様のようなゆるふわヘアーはボサボサヘアーになるし。ボサボサヘアーといっても、ほんとのボサボサヘアーはそんなレベルじゃないし。 メイクは作中でサラっと書かれていることがわからないし。 シャツインしたら垢抜けるってレベルじゃなくて、幼児のようなシャツ入れすぎよ!状態だし。 もし、同じおもしろTシャツを着ても、私は部屋から出てはいけない服装で、彼女たちはおしゃれなファッションウェアになるんだろう。 どうやっても、あのお母様に近づける気がしない。 作中、内面にいるおじさんらしさがいけない!という話をしていたところで、「そうなんだよねえ、でもこの人を追い出すってどうやるの。根付いて一体化しているよ?」と思いながら読んでしまった。 総務課に属するような性質の人たちは、この漫画をどんな気持ちで読むんだろう。

天体戦士サンレッド 完全版

サンレッドよりもヴァンプ将軍が主役っぽい

天体戦士サンレッド 完全版 くぼたまこと
六文銭
六文銭

アニメ化もされた本作。 タイトルが天体戦士サンレッドとあり、戦隊ものっぽくみえるが全然違います。 どちらかというと、サンレッドの敵であるヴァンプ将軍率いる「フロシャイム」の怪人がメインな作品。 というのも、サンレッドはただヒモであり、彼女からお小遣いをもらってはパチ屋で溶かし、怪人が現れれば理不尽にボコすようなチンピラみたいな存在。 一方で、「フロシャイム」は世界征服を望んでいるわりには、ヴァンプ将軍筆頭に常識人ばかり。 手紙を送って決闘申し込んだり、子供を人質にとったはいいが、夜に塾があるとわかれば親御さんに電話して送る始末。 怪人も、バイトだってする。(どうやって面接通過したのか…) 常識人というよりは、一般庶民っぽい。 ここが面白い。 怪人なのに、隣の住人の騒音に悩まされたり、悩みがほんと小市民っぽくて笑える。 一人暮らし(えてして貧乏っぽい)あるあるも多い。 だから怪人側のほうが親しみやすくて妙に憎めない。 戦隊バトルものを期待していたら残念だが、ギャグ漫画として楽しめる1冊です。 また、気に入った方は、同著者の『GOGO!ぷりん帝国』も、似たようなテイストなのでこちらもおすすめです。