友達の妹が俺にだけウザい

うざガラミも、また愛

友達の妹が俺にだけウザい 三河ごーすと 平岡平 トマリ
六文銭
六文銭

なんと言いますか、ラノベ的な女性キャラのちょろさと言いますか、なんの労力もなくご都合主義的な流れで惚れてしまう展開とか、わかっちゃいるんですけど・・・ 大好物です!!! ええ、大好物です。もう毎日食べたいくらいです。 本作もそんな感じ。 ご多分にもれず、陰キャな主人公が無条件にモテる。 うざガラミしてくる友人の妹(惚れている)と、ひょんなことで転校してきたが態度が冷たい主人公の幼馴染(惚れている)の3人をメインに、わちゃわちゃするラブコメです。 また主人公は同人ゲーム?を指揮している立場で、友人がプログラマー、その友人の妹が声優、先生がイラストレーター、ツンデレ幼馴染がなんと・・・(ネタバレ回避) ラブコメ的展開と主人公の夢(野望?)が平行してすすみ、その過程で同人仲間との交流が進んでいくという、青春っぽい感じも良いです。 タイトルにあるウザがらみしてくる友人の妹が、とにかくかわいい。 ツンデレは、ツンとデレのギャップが良いことは周知の通りですが、ウザがらみは、普段うっとおしいのに、ふとした瞬間にしおらしくなるギャップが良いのだと認識しました。 安定のラノベ原作ラブコメですが、眼福な1冊でした。

イケメン女子と金髪ショタ

おねショタ好きでなくとも響く物語 #1巻応援

イケメン女子と金髪ショタ ふじもとまめ
兎来栄寿
兎来栄寿

第1,2話がバレンタインデーのエピソードから始まる『イケメン女子と金髪ショタ』。正に本日2月14日に読むに相応しい作品です。 背が高く容姿端麗で運動神経がよく性格も優しく料理やお菓子作りも得意な愛波昴(まなみすばる)は、女子校で王子様ポジション。バレンタインデーにはチョコレートで山が築かれるほど大人気。そんな昴の家の隣に、最近引っ越してきたのが日本人の父とアメリカ人の母を持つハーフの少年・マルクくん。物怖じしながらも、ときには海外流のスキンシップも厭わない無垢な少年によって昴の心は掻き乱されていきます。 いわゆる「おねショタ」ですが、王子様系女子のクールな佇まいが崩され、ドギマギするのが好きな方も多いのではないでしょうか。ふじもとまめさんの可愛らしい絵柄もあいまって、ラブコメとして非常に秀逸です。 ただ、タイトルからしてもライトな内容を想像するかもしれませんが、この物語の価値を高めているのは一見穏やかに見える状態の裏に登場人物たちが秘めている気持ちとその描き方です。昴は、周囲からは完璧な王子様であることを求められているが故にその役割を全うすることを半ば自分にも強いています。しかし、どこかでそれは本当の自分ではないのではないかという気持ちも抱いています。そんな自分の素の気持ちを引き出してくれる役割がマルクくんという存在。 マルクくんはマルクくんで、友達と別れてやってきた異国の慣れない環境で、ひとり色の違う自分が新しく通う学校で無事に友達ができて上手くやっていけるか不安を抱えています。そんなときに手を差し伸べてくれた昴の存在は、彼にとってどんなにか大きくありがたいものだったか。 ただ明るく楽しいだけではない仄暗さもありながら、お互いが関わり合うことによって光の差す方へと進んでいく。一見すればタイトル通りのおねショタではあるのですが、その奥にある本質的な部分での繋がり、救い合う関係性は、もしふたりがまた違った年齢・性別であったとしても変わりなく尊いものです。そうした関係性が丁寧に描かれているからこそ、読んだときにハートフルさが胸を温めてくれます。 個人的には、昴の本質に気付いておりその上で自分の想いに自覚的な幼馴染みの紀代乃ちゃんがとっても気になります。本作のタイトルからしても概ね大道寺さくらちゃんポジションになってしまうとは思うのですが、だからこそ美しい。そういうものもあります。 おねショタ好きの方はもちろんですが、そうでない方にも広くお薦めしたい作品です。