片翼のドロップス

世界でただひとり空を飛べない少女の物語 #1巻応援

片翼のドロップス sora
兎来栄寿
兎来栄寿

『墜落JKと廃人教師』のsoraさんが、並行して短期連載していた作品です。 舞台は西暦3015年。温暖化と海面上昇により海が地球の90%を占めるようになったころ、人類は建物をどんどん高層化しながら自然と空を飛べるように進化したという世界。そんな世の中で唯一空を飛べない人間、「旧世代(ドロップ)」として差別を受けながら生きるのが本作の主人公・深海ツバサです。 「飛べない人間って人間なの?」 とまで言われてしまう世界。階段が設けられている学校すら希少で、移動のために常にマイハシゴを持ち歩いているヒロイン。まず、この設定が独特で面白いです。独自の理がある世界で必死に生きるツバサは白泉社の良きSF感を覚えさせてくれます。 そんな彼女が出会うのは、何やら謎めいた事情を抱えているイケメン・鷹月レン。彼との関係性も見所です。 ファンタジックな設定ですが、ツバサの抱える疎外感や無力感は現実の私たちと地続きであり共感できるものです。そんな中でも、ツバサだから見ることのできる世界の美しさ・素晴らしさもある。設定を上手く利用しながら実に良いシーンを描いているところもあって、好きです。 soraさんの画力がそれらをより引き立てているのもありますし、1話と最終話の対比構造も綺麗で素敵な物語です。 巻末には短編の「アブダクション」も収録。命の危機にあるときのツッコミたくなるところへのツッコミが好きです。

黒岩メダカに私の可愛いが通じない

これぞ王道ラブコメ

黒岩メダカに私の可愛いが通じない 久世蘭
六文銭
六文銭

モテまくる美女モナちゃんだが、クラスメイトの黒岩メダカだけはまったくなびかない。 仏門の身で修行中だからとか、そんな理由なのだが、煩悩に翻弄されないよう目つき悪く睨むことで耐えている。 誰も彼もに、ちやほやされていた彼女にとって、その態度が気に食わないから、彼女の心に火が点いて・・・という展開。 どんな男からも惚れられたいという神経は全く理解できず、むしろイヤなキャラになりそうなものだが、なぜか彼女だけは許せちゃうから不思議。 心の声が関西弁なのが、面白おかしくなっているのも理由なのかも。 あざといし、お色気作戦もやったり、なんでそこまで?と思わなくもないが、奮闘して基本失敗していく様は可愛い。 ライバルなんかもでてきて、別に好きでもないと言い張りながらも、焦る様も可愛い。 黒岩メダカも、男版ツンデレともいえる、時折デレて距離感が縮まっていく様もいいです。 もう好き同士でしょ? と野暮ったいことも言いたくなるが、そんなツッコミは抜きにして、ラブコメはこれくらい軽いほうが、個人的には好みだったりします。 THE・少年漫画のラブコメという感じです。