窒息しそうな緻密な地獄の中でも、河童がいる天水 花輪和一にわか民謡のような、説話のようなテイストが特徴的。いうなれば日本文学をマンガに落とし込んで、和風ファンタジーとして完成させたような作品。 個人的には、読者のストレスコントロールが完璧なところが素晴らしいと感じた。前半部は世界のどうしようもなさを、河童の愛嬌でうまく釣り合いを取り、後半部の緻密に書き込まれたドロドロの地獄をオチで、綺麗に飛ばす。河童の存在が終始とてもいいバランス感を保っていた。 河童は読者の救いであり、なによりも主人公の救いだった。 WEBで無料で公開もされているが、なんとなく、この読書体験は紙でしてほしいと思った。にわか1年以上前『天水』をフォローをしましたにわか1年以上前『熊を殴りに行く』をフォローをしましたにわか1年以上前『花本鹿乃子』をフォローをしましたにわか1年以上前『夜明け前のうた』をフォローをしましたにわか1年以上前『闇麻のマミヤ』をフォローをしましたにわか1年以上前『スローニン』をフォローをしましたにわか1年以上前『あさりよしとお』をフォローをしましたにわか1年以上前『北京的夏』をフォローをしましたにわか1年以上前『松本剛』をフォローをしました複雑な感情の移ろいを描くのがうますぎる春の呪い 小西明日翔にわか先生の作品は、来世は他人がいいから入ったがやはりいい。 誰もが思うことだろうが、まずなにより死んだ妹の恋人と付き合うというキャッチーな導入を設定として使い潰さずに、主人公と恋人、双方の複雑な感情と、変化を「漫画」で描いたのが見事だった。登場人物の動作、表情も上手く、キャラが立っているため感情移入もできた。てか上手すぎでは? 個人的にはSnsの使い方もスゴイ。 妹をとても好きな姉として主人公を描いているからこそ、ツイートを見て、実際のエピソードを回想する。 この形式がsnsを作中に使った場合に生じやすい安っぽさを消していた。 うん、文句なしの短編だと思う。偉大な研究者と仲良くなれる唯一無二の本ドミトリーともきんす 高野文子にわかあとがきを読むと、高野文子はフィクションの世界と実用性を同時に持つ物語を志向し、著した作品であると語っている。 ドミトリーともきんすは、その言葉通りの作品だ。日本の名研究者の若かりし頃に想いを馳せて、もしも自分が寮で暮らしていたら、という空想から展開される。 私は研究者には詳しくないが、なんとなくキャラを掴んでるんだろうなぁと思えるくらい魅力的に彼らが語られている。偉大な研究者に対して、こんなに親しみを抱かせてくれる作品が他にあるだろうか? 物語の世界の中で、研究者たちと仲良くなれたような気になってしまう素敵な作品だった « First ‹ Prev … 30 31 32 33 34 35 36 37 38 … Next › Last » もっとみる
窒息しそうな緻密な地獄の中でも、河童がいる天水 花輪和一にわか民謡のような、説話のようなテイストが特徴的。いうなれば日本文学をマンガに落とし込んで、和風ファンタジーとして完成させたような作品。 個人的には、読者のストレスコントロールが完璧なところが素晴らしいと感じた。前半部は世界のどうしようもなさを、河童の愛嬌でうまく釣り合いを取り、後半部の緻密に書き込まれたドロドロの地獄をオチで、綺麗に飛ばす。河童の存在が終始とてもいいバランス感を保っていた。 河童は読者の救いであり、なによりも主人公の救いだった。 WEBで無料で公開もされているが、なんとなく、この読書体験は紙でしてほしいと思った。にわか1年以上前『天水』をフォローをしましたにわか1年以上前『熊を殴りに行く』をフォローをしましたにわか1年以上前『花本鹿乃子』をフォローをしましたにわか1年以上前『夜明け前のうた』をフォローをしましたにわか1年以上前『闇麻のマミヤ』をフォローをしましたにわか1年以上前『スローニン』をフォローをしましたにわか1年以上前『あさりよしとお』をフォローをしましたにわか1年以上前『北京的夏』をフォローをしましたにわか1年以上前『松本剛』をフォローをしました複雑な感情の移ろいを描くのがうますぎる春の呪い 小西明日翔にわか先生の作品は、来世は他人がいいから入ったがやはりいい。 誰もが思うことだろうが、まずなにより死んだ妹の恋人と付き合うというキャッチーな導入を設定として使い潰さずに、主人公と恋人、双方の複雑な感情と、変化を「漫画」で描いたのが見事だった。登場人物の動作、表情も上手く、キャラが立っているため感情移入もできた。てか上手すぎでは? 個人的にはSnsの使い方もスゴイ。 妹をとても好きな姉として主人公を描いているからこそ、ツイートを見て、実際のエピソードを回想する。 この形式がsnsを作中に使った場合に生じやすい安っぽさを消していた。 うん、文句なしの短編だと思う。偉大な研究者と仲良くなれる唯一無二の本ドミトリーともきんす 高野文子にわかあとがきを読むと、高野文子はフィクションの世界と実用性を同時に持つ物語を志向し、著した作品であると語っている。 ドミトリーともきんすは、その言葉通りの作品だ。日本の名研究者の若かりし頃に想いを馳せて、もしも自分が寮で暮らしていたら、という空想から展開される。 私は研究者には詳しくないが、なんとなくキャラを掴んでるんだろうなぁと思えるくらい魅力的に彼らが語られている。偉大な研究者に対して、こんなに親しみを抱かせてくれる作品が他にあるだろうか? 物語の世界の中で、研究者たちと仲良くなれたような気になってしまう素敵な作品だった
民謡のような、説話のようなテイストが特徴的。いうなれば日本文学をマンガに落とし込んで、和風ファンタジーとして完成させたような作品。 個人的には、読者のストレスコントロールが完璧なところが素晴らしいと感じた。前半部は世界のどうしようもなさを、河童の愛嬌でうまく釣り合いを取り、後半部の緻密に書き込まれたドロドロの地獄をオチで、綺麗に飛ばす。河童の存在が終始とてもいいバランス感を保っていた。 河童は読者の救いであり、なによりも主人公の救いだった。 WEBで無料で公開もされているが、なんとなく、この読書体験は紙でしてほしいと思った。