あうしぃ@カワイイマンガ
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1年以上前
母を亡くして引き取り手の無い中学生男子・ゆうくんは、母のはとこの女性・建子(やすこ)に引き取られる。ゆうくんが共に暮らすことになる建子と、同居人のおりょうとさゆりの三人にはある共通点があった。それは、三人ともゆうくんの母親の、元カノという事。 女性と付き合っていたのに、男性と結婚して子供まで産んだゆうくんの母親。様々なわだかまりがあるはずなのに、何故か楽しそうな三人の共同生活。そこにゆうくんが加わる事で、思い出は溢れ出すし三人は張り合い出すし……と動き出す一方で、ゆうくんの保護者として緩やかに協力する。 何となく気の合う「元カノ同士」という連帯は穏やかで良い。三人ともゆうくんの母親に多少未練があるのと、既に家族として安定した関係を築いているためか、この三人間での恋愛が示唆されないのも、子育て物として安心して読める(まぁ先は分からないが)。 三人がゆうくんの母親の思い出を語る時、そこには優しい愛がたくさんある。ゆうくんは三人それぞれの百合を増幅し強化する存在だし、クラスの女子関係も繋げる存在。 沖縄に多く見られるらしい現代の中学校での「姉妹制度」も描かれる本作、百合マンガらしく見えないかもしれないが実際は、とても百合に溢れた作品なのだ。 ※一時機Twitterで話題になっていた沖縄の姉妹制度についてのマンガを描かれたのも、本作の作者・宮城みち先生だったりします。 https://realsound.jp/book/2021/12/post-927924.html
あうしぃ@カワイイマンガ
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1年以上前
宇宙世紀0080年1月1日、連邦とジオン公国の間に終戦協定が結ばれた……とのことで、1月1日は(ガノタ的には)一年戦争終戦記念日です……という書き出しで以前、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のクチコミを書きました。 https://manba.co.jp/topics/20337 一年戦争から続く宇宙世紀サーガを通して登場する人物に、ブライト・ノアが挙げられます。ここからはそのブライトさんを主人公にした珍しいマンガ『機動戦士ガンダムUC 虹に乗れなかった男』をご紹介します。 一年戦争時に若干19歳でホワイトベースの艦長に就任。それ以来エゥーゴ、ロンド・ベルといった非主流の部隊(しかも割と反抗的な)で、戦艦の艦長を務めてきたブライトさん。 彼はシャアの反乱を阻止した後、地球連邦軍の高官と思しき「声」に尋問を受ける。二人の人物を人質に取られ、シャアの反乱で見た物を曲げて証言するよう迫られながら、彼はこれまでに出会ってきた「ニュータイプ」達の事を考える。 ブライトさんの胸中として、一貫して後悔の念が綴られる。若く感受性豊かで繊細なニュータイプのアムロ・レイ、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタに対して、何もしてやれなかった……そしてその後悔は、シャア・アズナブルに対しても、そして息子のハサウェイ・ノアに対しても向けられる。 父親のように導いてやりたかったけれども、叶わなかった。思いを汲んで接したかったけれども、余裕がなかった。ひとつもうまくいかないという悲しみには、子供と接して来た身として共感する。 子育ても人間関係も、失策に気付くのはいつも後からなんだ……『閃光のハサウェイ』での、息子がやらかした事を知ったら、ブライトさんはまた同じ失望をすると思うと、切ないなぁと思うのです。 私達と等身大の、平凡な大人・ブライトさんの悲しみと、それでもなんとか自分の道を見出す姿に少しの希望をもらう、とても「大人な」ガンダムマンガ。カッコいいMSを求める事から卒業した大人の皆さんにオススメします。