みど丸
みど丸
2021/09/01
伝説のルアーで子ども心を鷲掴みにした釣りマンガ
7つ集めると世界の海が手に入るという伝説のルアー「レジェンダー」探しが始まってからが好きでした。改めて書くとヤバすぎるルアーを作るな!ってなりますが、当時は「そんな昔からルアーってあるんだ、すげえな…」って思ってました。 伝説のルアーもそうですが、主人公の武蔵が闇のルアーで洗脳されて釣りの暗黒面に落ちかけたり、ルアーが不思議な力でパワーアップしたり、釣りに特化したサイボーグが登場したり、この辺のやりすぎ感とリアリティが絶妙で楽しめました。 ちなみに闇のルアー「スケルトン」はのちに浄化されて武蔵の頼れる相棒になるのがアツいです。そして酷使されたスケルトンが武蔵のスキルに耐えきれなくなり、涙ながらに新たな相棒「オルカイザー」を迎えるという”主役機交代イベント”まで用意されてます。ドラマの量がすごくないですか? 私は父親に頼んでちょっと釣り堀に行ったくらいで釣りにハマるまではいかなかったのですが、作中に出てくるルアーは実際に販売されてかなりヒットしたそうです。欲しくなりますよね、世界の海が手に入るルアー。自分の世代の方は「釣りと言ったらグランダー武蔵」…って人が結構いるんじゃないでしょうか。 最後に本作の影響を示すエピソードとして、釣り竿を振ってルアーを加速させるグランダーウェーブっていう技(技?)があるんですが、これを真似して釣り竿振り回したら釣り堀の人にマジで怒られたという私の思い出話でシメとさせてください。こういう思い出あるのも多分私だけじゃないはず。
みど丸
みど丸
2021/02/19
壮絶な過去を描いたキッド編も至高
『クロちゃん』のなかでも存在感のあるシリーズと言えば異世界編だと思いますが、わたしはクロちゃんとマタタビの過去を描いたキッド編も同じくらい好きです。 幼いクロちゃんがボス猫ゴッチ率いるネコのシマに流れ着き「キッド」としてどう生きたのかが描かれています。 拳銃を持った猫狩り人間の襲撃、凶悪なカラス軍団との死闘、対立する猫組織との抗争、内部での権力争い、そしてマタタビとの因縁…。 激情と暴力にまみれた闘争の連続はさながらギャング映画を見るかのような迫力と緊張感がありました。銃撃戦も爆発炎上も全部見れますからね。彼らは常に生と死の狭間を命懸けで生き抜いているんです。こんなハードボイルドな猫たち『クロちゃん』にしか居ないですよ。 とりわけクロちゃんたちの兄貴分であるグレーがカッコイイです。ゴッチの組織のブレーンでありながら、危険な役目を率先して引き受けたり、いつも強敵の前に立ちはだかっていました。 キッド編とは別に最終巻で描かれたエピソードでも彼がフィーチャーされていたのが印象深いです。「お前に見せてやりたい」と自分たちの世代の落とし前をつけ、若者を先へ進ませようという姿勢が心に沁みました。 このグレーの姿がその後のクロちゃんの生き様に刻まれているような気がしていて、クロちゃんを語るときに無くてはならない存在だなと思います。 #マンバ読書会
みど丸
みど丸
2020/10/16
今夜「線」を超えろ!!!!
プロレスをインチキと断ずる少年が最強のレスラー「アオン」になりすまし全国のレスラーに宣戦布告、真のファイトとエンターテインメントを追求する…というふうに書くとシンプルな話のスジにきこえますが、読むとなかなか曲者で独特。独特、というのが『A・O・N』に最もふさわしい言葉な気がします。 存在を知ったのもその手のマンガに詳しい友人から「パワーがすごい打ち切りマンガがあるから読んでみてくれ」と薦められたのがきっかけでした。確かに話の運びが強引すぎたり、主人公に気持ちが入りづらかったり、連載が10話で終わってしまった理由は正直言って読めばなんとなく察せます。 一方で全10話の全コマから気迫みたいなものが迸っているのも事実。クセは強いんだけど抜群にうまい絵とか、流れはなんか違和感あるんだけど勢いにあふれた台詞とか、「今それやる!?」っていう展開に全力振り絞ったりとか…。 このマンガにしか無いような圧力というか、エネルギーが備わっていて、これも読んだ方にはわかっていただけるはず…。 少なくとも自分は強烈なインパクトを受けました。気になった方にはぜひ今夜「線」を超えて読んでみてほしいです。