日本で取られているアワビの45%は密漁品、安く食べられるアワビは暴力団が密猟したもの…っていう中々衝撃的な事実から物語が始まる。
密漁をする暴力団によって収穫を奪われ、貧困に喘ぐ磯貝家。
母は、家計のために暴力団に体を売っていて、あるとき、熊澤一味に殴られて鼻の骨を折られる。
ここからがもーほんと胸糞。
で、事の顛末を知った海斗はブチギレて、暴力団を潰すために、自分たちも密猟をする決意を固める。
自分たちで密漁したアワビを格安で売り捌き、暴力団のアワビが売れなくなるまで、立ち行かなくなるまでやる、という作戦だ。
だがこの作戦は一緒に密漁をやった鮫島の裏切りにより失敗。逆に暴力団に囚われ、密漁を続けさせられることになる。
ただ、ここで海斗は腹を決め
「密漁しながら、取引先ルート、取引場所、密漁場所の情報を集め、その全ての情報を持って自首をする」
という自爆作戦を決行する。
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テーマがあまり他に見ないもので、密漁やる上での法の抜け道とか海の危険性とか、読んでいて興味がつきなかった。
ストーリー展開も、「法的には悪ではあるけど、状況的にはこれしかない」という海斗の境遇と胆力と行動力に筋が通っていて、引き込まれた。
ただ、なんか常に、あと一歩足りない感じがあった。
変に展開が早過ぎたり、感情移入するにはキャラの性格が見える描写が少な過ぎたり。
他にも、おとん情けなさ過ぎない…?とか、最後の熊澤あまりにも素直すぎないか、とかちょちょこ気になった。
鮫島とか途中から何も喋んなくなるし。
プロットは面白いんだけど、キャラクターの手触り感というか生々しい人間味というか解像度が常に低い感じだったのがちょっとだけ残念。
面白かったけどね!
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暗い夜の海に海に潜るシーンが印象的。
少し幻想的な感じもしつつ、やってることはめちゃくちゃ危険な犯罪、っていうコントラストが良い。
特に密漁団員が街の光を見て、俺たちもあっちに行きたかったな…って呟くところとか。