あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
犬井あゆフォローをしました
姉を好きなお姉さんと

恋は無くとも「エモい」同居 #1巻応援

姉を好きなお姉さんと 真くん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

勿論ただの同居なら、別に恋愛は無くても、友情とか利便性とか契約とか、どんな関係でも構わない訳です。 で、この作品ですが、同居する二人の関係はかなりヘンテコ。 空き巣に入られて身の危険を感じた社会人・きのめは、一時的に居候させてくれる女性・あけびを姉に紹介される。しかし彼女、実は〈姉に〉恋してる! 漫画家のあけびはカッコよくて優しくて、変な男性に纏わり付かれるきのめには、頼れる存在。一方きのめは、得意な料理を振舞ってあけびに喜ばれる。win-winな関係は噛み合っていて楽しげですが、きのめの気がかりは、あけびの姉への恋心。 最初「姉を好きな人」とどう接して良いか分からずテンパる所から始まり、あけびの純愛に触れるきのめの、情緒が激しすぎて可笑しい。そして二人の生活は次第に楽しくなって行きつつ、あけびの恋はブレない。純情なあけびのポンコツな挙動も、また可笑しい。 心通わせてゆくコンビですが、恋になる感じは、する様なしない様な……姉の本心含めて、1巻ではゴールが全然予想出来ない。けれど同居物としては既に、互いへの思い遣りが「熱い」内容だし、今後もエモい展開が見られそうな気がします。

ヒトゴトですから!

二人の百合猛者に学ぶ人事のお仕事

ヒトゴトですから! ユニ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

人事部の先輩後輩である二人の女性。彼女達が偶然出会うのは、ラブホの入口。お互いに「彼女」を連れて。なんてこった……。 □□□□□ 百合作品なのですが、主人公の先輩後輩コンビは、恋愛関係では無い。性格も恋愛感も好みのタイプも全然違う二人ですが、互いの秘密を知って以来、飲んでお話しする関係に。これは……百合同志ですね。 分かり合えたり無かったりだけれども、腹を割って話せる二人の関係が楽しい。そして互いの性格を掴みながら、先輩から次第に人事の仕事をレクチャーされてゆきます。 心理学的テクニックを仕事に活かしていく様子は、納得感が大きい。営業のエースだった後輩が人事の機微を学ぶ成長物語としても、二人が協力して問題解決するバディ物としても面白く、お仕事漫画として充実! そして忙しくお仕事しながら、それぞれの恋愛模様にも変化があり、人心掌握に長けた先輩のドライな恋愛の裏側など、これから話は重くなりそう。 この先輩後輩、恋愛関係では無いのに、その関係性はやはり良い感じで、新しい百合の形かもな……と思ったりします。 (2巻までの感想です。最終第3巻は2021年3月8日発売!)

欠けた月とドーナッツ

欠落した私は貴女の側で満ちる

欠けた月とドーナッツ 雨水汐
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

百合漫画に出てくる、異性愛を前提とする恋バナ女子集団の同調圧力に、イラッとする。しかし一方で、自分も圧力をかける側だったかもしれない、と緊張もする。そういう事に気付ける百合漫画には、万人に読んで欲しい普遍性があると思う。 ♡♡♡♡♡ 普通の恋愛が出来ない事に思い悩む女子は、会社の友達との恋バナに疲弊しながら、言い寄る男性を拒み続ける。 周囲への劣等感や男性への嫌悪感等々、幾つもの苦しみを抱えた彼女は、それを軽くしてくれる人に出会う。 会社では真面目な堅物、一匹狼なその人に自分を肯定し、受け入れて貰えた喜びは、やがてもっと近づきたい、という感情に変化する。しかしその人もまた恋情に疎く、妹に対する強い思いに縛られていた。 人目を気にして外面を取り繕ってきたオシャレ女子の心の解放に、こちらの心も軽くなる。一方で真面目女子の物語はまだこれからの様で、予断を許さない。しかし妹の、姉への思いと動向が意外で、物語を楽しくしてくれている。 二人で歩く月夜の秘密と開放感に、私も救われる感覚がある。苦しみの先に生まれ続ける優しさを、スマートでふんわり美麗なページを繰りながら見続けたい。 (2巻までの感想)

あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
文尾文フォローをしました
やがて君になる

役を生きる、私が生まれる。

やがて君になる 仲谷鳰
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

恋が分からない侑と、彼女に初恋を覚える先輩・燈子、そして燈子の親友・沙弥香。彼女達の心は、難解だ。 恋を知る私は、恋が分かない侑に感情移入しにくい。燈子の完璧さが隠す物も見えないし、沙弥香の燈子への心もどこか胡乱だ。 侑に甘えながら心を開き切らない燈子。燈子を受け止める侑の優しさ・苛立ち・変化。二人を見る沙弥香の複雑な心情。それを表現する彼女達の言葉は、時に鋭いが時に遠回り。 相手の事は思い遣れるのに、自分の心は掴めない三人。そのモノローグを追ううち、私は彼女達の本当に言いたい事を、未だ形にならない心を、考えずにはいられなくなる。 まるで人の複雑な心に踏み込む舞台の脚本の様な、彼女達の心理描写。そこには私を考え込ませ、よろめかせる強い引力がある。 ☆★☆★☆ 物語は、彼女達の心の変遷と生徒会劇の製作とをシンクロさせて進む。元々は燈子が自分の「人生の役」を完成される為に仕組んだ生徒会劇。図らずも燈子の内面と重なってしまった台本を巡り、三人の心は絡み・切迫し・圧縮されていく。 燈子のために侑が望んで変更した結末。そこに込められたメッセージを受け取った燈子は、舞台で役を生き切った時、「人生の役」から解放されていく。 舞台の完成と、燈子の新生。それが同時に表現される時、難解だった心情はシンプルになって私の心に届く。6巻まで積み上げた先に広がる光景は、凄い創作物を見た喜びと、燈子への祝福に満ちていて、脳が焼けつくような多幸感で煌めいている。 凄い創作物を見た時に、新たな発明品の目撃者である事と、純粋に描かれた内容に感激する事は、両立する事もあるし、そうで無いこともある。そして『やがて君になる』は、確実にそれらが両立する作品だ。 切ない人達の心の解放と新生を描いた、心に残る創造物が、創られ届けられた事に、深く感謝したい。

青い花

恋の舞台裏は、みっともない。

青い花 志村貴子
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『青い花』の中で一番印象的な人、と問われると、私は実のところ、主人公の奥平あきら(あーちゃん)や幼馴染の万城目ふみ(ふみちゃん)よりも、ふみちゃんの先輩の杉本恭己を思ってしまう。 杉本先輩は所謂「王子様」。あらゆる女子の好意を一身に浴びる彼女は、ひと時ふみちゃんと付き合うものの、すぐに破局する。 彼女を印象付けるのは、完璧な仮面の裏に潜ませた、どうしようもなく幼い片想い。そのみっともなさは、美しい外面と落差がありすぎる……まるで派手な舞台と、その舞台裏の埃臭さのような。 舞台裏は暴かれてしまえば、表の煌びやかさを失わせる。しかしそれを観る事もまた、興味深い。舞台裏の必死さとツギハギな工夫、人間ドラマは、飾った美しさとはまた別な良さがある。 ◉◉◉◉◉ 演劇部の活動を通じて、しっかり者だがどこか幼いあーちゃんは、裏方からメインキャスト、部長として大きく成長し、幼さを捨てて変貌していく。一方ふみちゃんは、自分を振った先輩を叱り、あーちゃんに対する恋心から逃げないと覚悟する強さを得る。 しかしそんな二人の裏には、やはり美しくない物が隠される。 成長したあーちゃんだが依然恋心が分からず、それでもふみちゃんを傷つけたくなくて付き合う事に苦しむ。そしてふみちゃんは、この恋で傷ついてもいいと思いながら、いざ傷つくと泣いて執着する。 真摯で優しい二人の物語だが、決して美しい所ばかりでは無い。こうありたいと願う美しさの裏に、ままならなさと必死さを隠して、それはある時、ふと見えてしまう。しかしそんな彼女達の覚束なさを見る時、私は演劇公演の舞台裏を覗く様にドキドキし、剥き出しの心に同調する。うん、そういうこともあるよね、と。 心は不可解で、美しいのにみっともない。そう『青い花』は繰り返し描く。私はそんな美しさもみっともなさも、どうしようもなく好きなので、何度でも『青い花』を手にするのだ。

もっとみる