野愛
野愛
1年以上前
好きというのはただの感情であって、誰かを縛りつける理由にはならない。 とは思うものの、山下の心情を思うと胸が締め付けられる。 恋の重さも好きの重さも人それぞれで、山下の好きも小谷の好きも優劣がつけられるものではない。それでも、苦しくなる。 小谷は掴みどころがなくてふわふわしてるけれど、凄く現実的な女の子。 めんどくさいから休日でも制服で、特売のスーパーが好きで、気持ちいいセックスが好きで誰とでも寝る。なんとなく複雑な家庭環境を想像してしまうけれど、詳しくは描かれない。 山下はごく普通の純情な男の子。小谷に恋をして、セックスをして、小谷が誰とでも寝ることも知っていて、傷ついてもなお小谷に恋をしている。 好きな人とセックスできたらそれでいいじゃない、自分と過ごす時間を気に入ってくれていればそれでいいじゃないか。 って思わなくもないけど…山下には言えないな。 山下が想像する以上に小谷は山下のこと好きなんだと思うけど、それじゃ足りないんだよな。 先日、『気持ち悪いんだよ、死ね。』という漫画を読んだ。 純粋な好きとか純粋な恋愛は偉いのか?まるで正義のように振りかざしていいものなのか?そんなの気持ち悪いんだよ、というテーマの作品だった。 山下を見ていると胸が苦しくなる。でも、小谷の生き方だって間違いじゃない。 好きの純度も重さも人それぞれだから、誰のことも否定できない。 でもなあ、恋に落ちたら独占して執着して閉じ込めてしまいたくなるんだよなあ。 青春の甘い痛みだなあ。苦しいなあ。
nyae
nyae
1年以上前
移動式パン屋「ミムラパン」が巻き起こすハートフルな人情漫画ですが、あえて"グルメ漫画"として推したい。そのくらいパンが美味しそうに描かれています。そして単行本には登場するパンのレシピも掲載されています。ミムラパンのパンが家でも食べれるなんて!と思いますが、パン作りは難しいので慣れてない人にはハードルが高いかもしれないですね。でも読めばきっと挑戦したくなるはずです。 この漫画は、背景の描き込みが凄まじく、また漂う空気とか人の感情の移り変わり等の効果の表現が特徴的でどこかファンタジーな雰囲気があります。それでいて生きるうえで大切な「美味しいものを食べる喜び」もしっかり伝わるように描かれてます。 作中でも言われてますが、パン作りは本当に難しい。ましてや商売にしようとすれば挫折は当たり前。そんな中で、どうして諦めずにミムラさんがパン屋を続けているかという問いにたいして答えた言葉がものすごく響きました。つらいことばかりでも、何があっても忘れることのない「楽しい瞬間」。もしかすると1秒もないかもしれないその瞬間のために頑張れるって、誰にでもあると思います。 パンに限らず、なにか美味しいものを自分で選んで買って、気分ををあげようという気持ちにしてくれる漫画です。