親が勝手に決めた結婚にNO!と言い続けた結果、まさかこんなにスケールの大きな話になるとは全く予想がつかなかった…参りました。 これはただのラブコメじゃない。NHK朝の連続テレビ小説だ。 主人公のそのかが“あまのじゃく”であるという点がポイント。 あと扉絵でめちゃめちゃ見切れてるそのかパパがいいキャラしてる…このパパなくしてこの漫画の面白さはなかった。むしろ主役と言ってもいい…?(にしては死ぬときのコマ小さかったな) この読切が四季賞の一次落選してるってどんだけレベル高いんだ… 連載決まってるっぽいので楽しみにしてます!
「アストライア」とは、ギリシャ神話に登場する正義の女神。善悪をはかるために手に持った天秤が、てんびん座の元となったとされています。 裁判員制度が導入された2009年頃、(私のような)よく理解ってない人向けに啓蒙的な裁判漫画がいくつか作られていました。「サマヨイザクラ」「裁判員の女神」などがそうです。その内の一作が、この「アストライアの天秤」になります。(最近だと「イチケイのカラス」でも取り上げられていました。) 作画は中華一番!の小川悦司先生。これまで料理マンガのイメージしかなかったのでとっても意外ですが、最初見た時は劇画タッチすぎて、誰の絵か一瞬わからなかったほど気合が入っています。 緊迫した面持ちのキャラクターばかり登場する娯楽要素の少ないマンガなので、「もし自分に裁判員の通達が来たらどうすれば良いか」などと考えながらシミュレーションして読むのが良いでしょう。いつか、裁判員に選ばれる日が来るときのために…。
日常シーンからダンスシーンに入った途端、絵柄・コマ割り・カメラ位置・パース等の自由度を上げまくり、日常との乖離とともにダンスの躍動感を全力で表現してて"マンガでしか表現できないダンス"を描こうという意思を感じる作品。 こういう作品だと得てして主人公が特別な才能或いは"努力する才能"を持ってるものだけど、今作の主人公は努力の積み重ねで初めて能力となる言うなれば"素養"だけを持ってる形。それでも、ダンスへの興味が高まるに従いその素養を開花させていく感じは展開としても熱いし、主人公としての特別感が薄くて共感しやすいキャラクターになっている。 2巻まで読了
美大だけでなく、物を生み出す苦しさや嬉しさや取り巻く環境の大切さがごちゃまぜになって夢中になって読んでしまう。受験って当時は絶対的なものでそれに通らなければ敷かれたレールからぽいと投げ出されてしまうような気がしていた。生み出すクリエイターは永遠にそれの繰り返しと思うとしんどい、
『東周英雄伝』の鄭問(チェン・ウェン)の訃報は、一昨年のことだったか。 とんでもない「絵」を持った漫画家だった。 今さらだが、心から哀悼の意を捧げたい。 80年代後半から90年代前半、講談社のモーニングは、かなり精力的に海外の漫画を掲載していて、その野心的な試みは、今もバンドデシネ(フランスの漫画)のフィールド等では結構伝説的に語られることがあるのだが、そうした中で、もっとも衝撃的だった才能こそ、鄭問だった。 「こんなに絵の上手い漫画家が、台湾にはいるのか!?」と圧倒されたのを鮮烈に覚えている。 西洋画の奥行きを自家薬籠中のものにしながら、東洋の伝統的な水墨画のテイストを自在に操るその驚異の筆使いは、日本の漫画読者の芯を直撃しつつ、激しく揺さぶってくる。 本当に惚れ惚れする。 その作風からすれば、かなり手堅い印象の企画である『東周英雄伝』の好評を受けて始まった本作『深く美しいアジア』は、オリジナルのファンタジーだ。 世界設定は大陸的な伝奇物テイストでかなりブッ飛んでいるし、ナンセンスな味わいもあって、一筋縄ではいかないこの漫画家の器の大きさが感じられ、とても楽しい。 すごい漫画家が、世界にはいっぱいいるんだなあ。
言わずとしれた藤島康介の代表作。 アフタヌーンの代名詞の一つにも挙がってくる作品。 久しぶりに1巻を読んでみたらこんな始まりだったなぁというのと同時に画風の変化に驚き、ベルダンディーのブレなさにも驚いた。 本当に女神としか言えない振る舞いと人間離れした天然っぷりに当時の読者たちは心がキュンキュンしていたであろう。 ちなみに私はウルド派で、ベルダンディーの良さは当時はわからなかった。今のオッサン世代にはどストライクに刺さるであろう女神達がいっぱい登場します。 スクルドもウルドも可愛いんだけど、今見ると最後の方はさらに画風が変わりまくってますね。 10〜20巻ぐらいまでのウルドが世界一美しい女神だと私は思う(推し) 最後の最後は1巻の第1話の流れを読み返してから読むと良いと思われます。 のほほんとした日常系コメディ漫画としても超名作。
融通のきかない生真面目さで、素直じゃなくてメンドくさくて、目つきも悪い。 一見可愛くないのだが、なぜか可愛いくみえてしまう、ユイコさん。 照れたり、言い訳しながらも、一途に、そして積極的にアプローチする様は、思春期のもどかしさを彷彿とさせて、くすぐったくて良いです。 個人的に、2巻最後の夏祭りの話がツボでした。 盆踊りしている背後からくりだされる、ユイコさんの素直なセリフとシーンにキュン死です。 二人の関係をスゴク応援したくなった名シーンです。 5巻で完結と手ごろな感じもあり、5巻以内で面白い漫画は?と問われたら、間違いなく本作品をお勧めしてます。
読んでて嫌〜な気持ちになったしんどい読切。というのも主人公・たけしと、小学生の時に仲が良かった女子・くじらの関係や抱えている悩みがあまりに中学生すぎて「もうやめて…!」となるから。 思春期の怒り苦しみでグチャグチャした感情なんて、もう二度と思い出したくない…。頑張って苦い表情をしながら読み通しました。岡田麿里作品のようなつらさがありました…。 ベリーショートで背が高くて、給食が全然食べられない静かな女の子だったくじらは、中学に入るころには明るい性格に。 一方、くじらにグイグイ話しかけ、ドッジに連れ出し顔面ヒットさせたり・されたりしてゲラゲラ笑ってたたけしは、教室で女子(くじら)に話しかけられるのを嫌がるほど内向的に。 特にたけしの変化は「うわ〜こういうやついた…」と、あまりのリアルさに当時の気持ちが蘇りウヘェとなりました。あいつ今何してんのかな。 そして後半、くじらが自分の抱えている気持ちを吐露するシーンでは「も〜!やだそういうの聞きたくない!!」がMAX。 人が思春期でのたうち回っている姿を見せつけられるのは、自分がかつて同じようにみっともなく悶え苦しんで喚いていた姿を目の前で見せられているようで耐えられない…。 **人をこんな風に苦しませるほど、的を射たキャラクター・お話作りが丁寧で…敵ながらアッパレ(?)というような気持ち。** https://i.imgur.com/GPPRlDL.png >「大人達ってさ、全然味方じゃないのね」 >「一回 子供やってるのになんで分かってくれないの?」 >(『くじらの背中』藤田直樹) #やめてくれ…そのセリフは俺に効く。 まさに同じようなことを当時心のなかで思っていた確信があります…。もうやめて!私のライフはゼロよ…。 選考委員を務められた萩尾望都先生の講評は、「思春期の少年と少女の気持ちを丁寧においかけて、ありふれた表現になりがちなそれをちゃんと自分の言葉で描いて、とても面白かったです。」とのこと。 繰り返しになりますが、自分は苦い気持ちになって全然楽しめませんでしたが、それは間違いなくお話作り上手さゆえです。私のこの悶え苦しみを、褒め言葉としてお受け取ってもらえればと思います。 【アフタヌーン2019年12号】 https://afternoon.kodansha.co.jp/afternoon/2019/12
私が中学生だった頃「ソフィーの世界」という、哲学を題材にした本が流行ってましたが、あの本が読みこなせなかったんですよね…。この漫画もタイトルや世界観に近いものを感じました。 「クーの世界」も、現実世界の死や、心のありかたに関する悩みが中心にあります。ソフィーのように難解で哲学的な言い回しはなく、説教くさいところもないので読みやすいです。純粋に作品世界に浸りながら、主人公と一緒になってあれこれと悩んだり、心について考えながら楽しめました。 ちなみにこの本は講談社版と秋田書店版がありまして、秋田版には描き下ろしページとあとがきが加筆されています。 https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253104711 作者の小田ひで次先生によると、親戚の姪っ子さん達に楽しんでもらうようにと描かれたそうです。まるで「不思議の国のアリス」を生み出したルイス・キャロルのようなエピソード!なんて思いましたが、ちょっと言い過ぎでしょうか。大人でも充分楽しめる作品ですが、できれば自分も思春期の頃にこの作品に出会いたかったなあと思うばかりです。
※ネタバレを含むクチコミです。
親が勝手に決めた結婚にNO!と言い続けた結果、まさかこんなにスケールの大きな話になるとは全く予想がつかなかった…参りました。 これはただのラブコメじゃない。NHK朝の連続テレビ小説だ。 主人公のそのかが“あまのじゃく”であるという点がポイント。 あと扉絵でめちゃめちゃ見切れてるそのかパパがいいキャラしてる…このパパなくしてこの漫画の面白さはなかった。むしろ主役と言ってもいい…?(にしては死ぬときのコマ小さかったな) この読切が四季賞の一次落選してるってどんだけレベル高いんだ… 連載決まってるっぽいので楽しみにしてます!