くまみこ

一人と一匹のとてつもなくカワイイものを愛でる

くまみこ 吉元ますめ
名無し

JC巫女とかね、もふもふした熊とかね、私の大好物がメインになった作品が『くまみこ』でございますよ。まいった!可愛すぎてね、何度も何度も何度も読み返しては、鳥取砂丘のように乾いた私の心に、じょうろで水をまいて潤いを感じさせてくれるような、そんな作品です。  舞台は東北地方のどこかにある熊出村。はっきりいって限界集落な熊出村には、中学生巫女の雨宿まちという少女と、人語を解する、半ば神の使いとして崇められている熊のナツがいます。  まちは都会に憧れていますが、長い田舎暮らしのため、一般常識はよくわかっていません。その点、クマのナツはブルーライトカットメガネをかけ、Nexusを操り、なぜか現代社会にとても詳しかったりします。  可愛らしいまちと、わりとリアルよりな造形ながらもふもふとした毛並みとつぶらな目が魅力的なナツのゆるい日常が限界集落を舞台に繰り広げられます。  都会に出たいというまちに、ナツはテストとしてユニクロでヒートテックを買いに行かせたり、ヴィレッジヴァンガードでDVDを買いにいかせたり……、そのどれもが、まちにとってはとてつもなく難しいことなで、いつも慌てふためいてしまうまちが非常にカワイイのです。  このまま延々と、まちの可愛らしさとナツのもふもふを語っていてもいいのですが、ちょっと待って欲しい。  はたして、この熊出村の山奥度合いがどのくらいかなのでしょうか。国道沿いのユニクロまで自転車で40分、ヴィレッジヴァンガードが入っているイオンも、国道沿いにあるようです。当然、ファッションセンターしまむらもあります。私個人が田舎の尺度にしておりますコメリ(ドライブしているととんでもない山奥にあってビックリすることがあります)がどのくらいの距離にあるのかが非常に気になりますが、数値的にみれば、意外と都会…な気がしなくもありません。  しかし、描かれている村の雰囲気や田んぼや森の様子は、ドライブで道に迷った時に、「助けがこないかもしれない」と不安に感じるような日本のど田舎の風景そのままです。都会に生まれ育った人間もなぜか感じる郷愁といっしょに、一人と一匹のとてつもなくカワイイものを愛でるのが、この『くまみこ』なのです。

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~

初めて読む異世界転生ものにはとてもいい気がする

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ フジカワユカ 理不尽な孫の手 シロタカ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

引きこもりでオタクのデブクソニートだった男が家を追い出されて路頭に迷っているところトラックに引かれそうな学生を助けて死に、そして異世界へ転生、というベタな始まりから、再スタートした人生を本気で頑張る異世界ファンタジー。 異世界転生ものってだいたいずば抜けた才能だったり、チートな何かをもっていたりするみたいだけど、この作品は前世を後悔しまくった主人公が常に本気で生きて、赤ちゃんの頃から前世の知識と精神年齢を持っているという点ですでにハイスペックだよね、という感じで描かれている。 そりゃ赤ちゃんのころからしっかり目的意識持って努力を続けていたら神童並みには強くはなるよねー、と納得できる。 つまり、努力で手に入れられる範囲の才能なので、頑張ったね、偉いねという目線で見てられるし、実際、前世の知識はそこまで使っていないので妙なチート感もなく、子どものころから精神年齢高めの自我を持った子が超頑張ってるファンタジー漫画という感じ。 物語の世界観や導入の説明がめんどうな部分や、動機付けを異世界転生パートで補っているだけで、わりとガッツリファンタジーなので読み応えがある。 何度もちゃんと死にそうにはなるし、主人公より強い存在もざらに出てくる。 途中から、もともとクソニートだったやつが中に入ってることも忘れるくらいのとっても良い子になったのは前世の自分への反面教師が強すぎるがゆえだろう。 ストーリーも安易な方向にはいかないし、これからどうなるんだろうと楽しみに読める良作。 全然ペラくなくてよかった。 絵もクオリティ高くて読みやすい。 出てくる女の子もかわいいが、ラブコメの範囲内で主人公のこと好き好きすぎるのでそこだけ引っ掛かりはあるが、異世界転生もののジャンル全体がそれのオンパレードなのでそういうものだろうと思って読むしかない。