ヒラエスは旅路の果て

死出の旅路とロマンシス #1巻応援

ヒラエスは旅路の果て 鎌谷悠希
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

試し読みをすると、何だか随分明るい雰囲気で、生死の話をしていても深刻に見えないかもしれません。しかし先を読んでいくと、カジュアルさを纏いながらもそこには切ない思いがあり、胸に来る物語となっています。 親友を亡くした少女が、死期を悟った神様、死ねない男と共に「黄泉比良坂」を目指すお話。三人それぞれの死生観はどうしたって重くなりますが、それを美麗な画面と、かなりズレている三人の楽しい旅が和らげます。 少女がいかに親友への喪失感に苛まれているかが語られる。喪った大切な人への「執着」、そしてその「執着」を失う事への恐怖に、強く共感してしまう。 心に亡き友を想いながら旅をする、という形は例えば『マイ・ブロークン・マリコ』とも似たところがあります。その想いの強さも同様ですが、それは旅の同行者や出会った人によって、変化を起こすのか。それともその重い愛を保ったまま、少女は黄泉の国に辿り着くのか……。 そんなロマンシス(女性同士の愛情にも近い友情)的観点からも、今後読み続けたいと思います。 (勿論、人の視点を超越した神様、死ねない男それぞれの物語も今後注目。男色が描かれるので、百合好きさんはご注意を)

おいしい学び夜

題名がとても秀逸

おいしい学び夜 大井昌和 北島和洋
名無し

調理師学校の、それも夜間部が舞台ということを 判りやすくて面白く題名で表している。 そして調理師学校が舞台のマンガって珍しい。 これは面白いかも、と思った。 しかし表紙の絵は、巨乳女子と それに興味がなさそうな男子の絵。 これはもしかしたら「おいしい」の意味が H系の「おいしい」マンガってこと? それはそれで嫌いなマンガではないが、 そっちばっかりのマンガだったらいやだな、 とちょっと不安になった。 読んでみたら、たしかにH系の要素もあった。 だが、それもありながらさらに珍しい展開の漫画だった。 登場人物たちがとくに調理師になるのが夢だったとか、 なにがなんでもなろうとか、そこまで必死になっていない。 主人公なんか自分も別に調理師になりたくないのに、 成り行きで入学して、それなのに屁理屈をこねて クラスメイトの退学を止めさせたりする。 そのへんの、熱血でもなければ緩すぎもしない、 みんな、それぞれの事情に応じてそのなかで 一生懸命に生きている、 という感じがちょっと新鮮なマンガだった。 そしてその感じはまさに題名によく表れている。 とりあえず第一巻を読んだ感想としてはそう思った。 ただし、一巻かけて各登場人物のキャラの紹介説明に 終わっている感じもした。 物語の種をまくのに、よく言えばじっくりと、 悪く言えば時間をかけ過ぎという感じはした。 一方で、調理技術の描写に関しては、専門学校のわりに ダシのとり方とか地味すぎる面は割愛している感じもしたが、 衛生管理などの「調理の基本」はちゃんと抑えていて 良い感じがした。 履修学科や試験の内容や学費や器具の扱いなども 細かく描かれていると思う。 また、主人公が本来は「科学系フリーライター」だとか、 調理学校に通いながら「刃物恐怖症」という設定が とても面白く、これからどんどんその点が面白く 描かれていくのだろうなと思った。 残りの二巻を読みたくなる内容だった。

とんがり帽子のアトリエ

これは割と"完璧"な作品

とんがり帽子のアトリエ 白浜鴎
さいろく
さいろく

美しい世界、魅力的なキャラ、奥が知れない物語と展開。 そして幻想的な「魔法」のエフェクトに加えてそのエグいほどの恐ろしさが、表紙からは想像もつかないギャップとも言える世界観を作っています。 ジャンルとしてはダークファンタジーと言ってもいいと思う。 壮大で人を惹きつけ魅了する世界観がありつつもゾッとする恐ろしさが両立しているため、こう表現すると陳腐かもしれないけどジブリ映画のような完成度の高さが垣間見えている作品。 以前どこかで見たんですが、白浜先生が絵を描いている動画があって「そこ直接書いてるの!?」とビックリした憶えがあります。 扉絵か何かで魔法使いの子供たちが家でご飯の準備か何かをしているシーンだったかと思いますが、画力というのはこういうのを言うんだなーと勝手にこれまでの努力も凄かろうと想像して感心させられました。 服のシワの書き方とか模様とかもすごかったなぁ。。。 もちろんストーリーも面白いし、怖いし、先が気になる素晴らしい展開。 編集部からも大事にされてるんじゃないかと思いますが、ゆっくりでいいので最後までクオリティを保っていただければこれ幸い。 追記:白浜先生の画力の高さはこの序章を担当されてるところでよくわかります http://www.moae.jp/comic/kugutsusenki/1