岩波現代文庫の感想・レビュー4件山賊の8人目の妻は美しく残忍な女だった桜の森の満開の下 近藤ようこ 坂口安吾かしこ近藤ようこ先生の坂口安吾原作シリーズの第2弾。後書きによると原作は坂口安吾ファンに人気があるそうです。前作「夜長姫と耳男」と同じく残忍な美女に振り回される男の話なんですが、こっちの方がもっとグロテスクかも…。不気味だけどなぜか見惚れてしまうシーンの連続で、これは原作でどう表現されてるのか読み比べてみたくなりました。これから桜を見たらこの話を思い出しそうです。無垢で残忍なお姫様と仏師の男夜長姫と耳男 近藤ようこ 坂口安吾かしこ近藤ようこ先生の坂口安吾原作シリーズの第1弾。人の2倍は大きい耳をした仏師の男がライバル達と競い合いながらお姫様の為に弥勒菩薩を彫ることなるのですが、そのお姫様というのが虫も殺さないような可愛い顔をしてるのに実はとても残忍な心を持っていて、危害を加えられた仏師の男はこっそりと復讐を企てることにしたのです…。史実にもブラッディメアリーみたいな怖いお姫様が存在しますが、近藤ようこ先生が描かれた夜長姫は神々しさまで感じられました。もっとアイヌのことを知りたくなるハルコロ 石坂啓 本多勝一 萱野茂starstarstarstarstar_borderかしこ和人に侵略される前のアイヌの暮らしが描かれています。小学生でも読める語り口なので分かりやすいです。アイヌの人々にとって北海道の大自然の中には数々の神様がいるとされていて、それらとまるで親切な隣人のように共存する暮らしは精神的にも文化的にもとても豊かだったんですね。読んでいて感銘を受けた風習がたくさんあるのですがその中でも、アイヌの女性は子供の頃から遊びとして刺繍の図案を練習するので大人になる時には下書きなしで着物に左右対称の刺繍を施すことが出来たというのに驚きました。美術館で実物を見たことがありましたが装飾として美しいだけでなく祈りのようなものが込められていて神秘的なものに感じられました。もっとアイヌのことを知りたくなる入門書としてぴったりです!実際の事件をモデルに描かれた短編集彼らの犯罪 樹村みのりstarstarstarstarstarかしこ樹村みのり先生といえば笹生那実さんの「薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―」にも登場されていましたが、作品を読まれたことがないという方も多いかもしれません。夏目房之介先生のコラムでは「ジャンルに捉われない作家」として取り上げられていました。 https://manba.co.jp/manba_magazines/25301 私が樹村みのり先生を知るきっかけになったのが、こちらの短編集に収録されている「夢の入り口」という作品です。主人公の友達がカルトだとは知らずに講習に参加してしまい、徐々にマインドコントロールされてしまう過程が描かれています。 他にも実際の事件をモデルに描かれた作品が収録されていて、この情報だけではとても重いテーマの短編集だと思われるかもしれませんが、樹村みのり先生の力量により不快な気持ちにはなりません。ただ「こんな時に私たちはどうすればよかったのか?」ということを優しく問いかけてくださっています。
近藤ようこ先生の坂口安吾原作シリーズの第2弾。後書きによると原作は坂口安吾ファンに人気があるそうです。前作「夜長姫と耳男」と同じく残忍な美女に振り回される男の話なんですが、こっちの方がもっとグロテスクかも…。不気味だけどなぜか見惚れてしまうシーンの連続で、これは原作でどう表現されてるのか読み比べてみたくなりました。これから桜を見たらこの話を思い出しそうです。