遠い日の情熱は寄せては返す波のように――年の差カップルは濃蜜な愛に溺れて■女子大生の志恵里は父の葬儀の日に新しい「同居人」と出会った。上司だった父との「約束」通り、志恵里の家で居候を始めた海洋学者の優一は、彼女にとって小さな頃の初恋相手……しかし今の優一は、亡き妻の連れ子と暮らしていて!? 家庭を顧みず、研究に打ち込む父を嫌っていた志恵里は、同じ研究者でありながら義理の息子を気遣い、日々を大事に過ごす優一の姿に、だんだん気持ちが傾いていく。端から見れば疑似家族のような三人。父と姉と弟…? しかし父娘にしては年が近く、姉弟にしては年が離れすぎている。志恵里が初めて体験する賑やかな日常生活……けれど何故かせつなく胸が苦しいのは、昔の淡い初恋とは違う熱い想い、そして優一との年齢差に戸惑っているからだ。しかし、その葛藤を抱えているのは優一も同じだった。「君と一緒にいたいんだ。でも、それは保護者のような存在では駄目なんだ。ただ、見守る事は出来ない。――俺は、君を誰にも渡したくない」
「家に帰って来て、チャイムを鳴らしても君がいない……ひどく心細かった」■百合は商社の庶務課で働く、海外旅行の経験すらない平凡なOL。そこへ風変わりな青年が秘書課に配属されてきた。思わず息をのむような美青年・風見遼は、アメリカ支社から転勤してきたという。彼はぐるりと庶務課の女性を見回して、突然に百合を抱きしめた。「会いたかったよ……マイ・スウィート」悲鳴と混乱が渦巻く庶務課から連れ出された先は、なんと最上階の会長室! 威厳ある会長を気軽にグランパと呼んで、遼は「この娘にするよ」と一方的に言い放つ。彼はこの商社を継ぐ御曹司だった! 海外暮らしが長かったため、日本の平均的な生活水準が全く分からない。社員の「日常」を把握させるため、彼は秘書課で社長の仕事を補佐しつつ、社宅で社員の生活を学ばされることになったのだ。三ヶ月間だけ、遼の奥さん役をして欲しい――と会長にみずから頭を下げられ、断り切れない百合。ちなみに御曹司が庶務課の女性たちからヒロインを選んだのは「いかにも日本の女性らしい」から。え……? それって、どういう意味……?
一人の女性として彼女は抱かれた。そして若様を男にした。嬉しかった。せつなかった……■時は戦国――あやめは忍者になるため厳しい修行に耐えてきた。それも全て自分を拾ってくれた「あの御方」のお役に立ちたくて。18歳を迎えた日、一人前のくのいちになるべく、あやめは最後の訓練……大人の女性になる儀式を行うことに。その相手は、共に育った兄貴分の忍者・総紫であった。迷いがあるなら、くのいちではなく普通の娘として生きろと、最後の選択を与えられるが、あやめは気丈にも忍びという修羅の道を歩むことを決意する。あの御方こと若様・彰孝の側仕えとして城に上がったあやめは、若様にも本当の任務を隠し、くのいちのつとめを貫いていく。何も知らない若様……二人を見守る総紫……そして乱れるあやめの胸中。私はあなたのためにくのいちとなりました。多くの男と寝て情報を集めました。今、あなたの御身を護れて光栄です。嬉しいです。嬉しいはずなんです――!
「君の手はひとを救う手。俺の手はひとを殺す手」乙女の祈りは唯ひとつ……苦しむ彼にまことの愛とさいわいを■滅ぼされた祖国より命からがら逃れてきたリーリエは、中立国アルモニアの難民キャンプで看護師見習いに採用された。広がる大戦の中、アルモニアは傭兵稼業と国籍を問わない医療活動で混乱の時代を渡っている。家族すべてを失ったリーリエは、途中で脱落した級友たちのことに心を痛めながらも、長閑な景観と新しい生活にひとときの癒しを感じていた。そこに一人の青年が亡命してくる。重傷だ。リーリエは傷口を手当てしようとしたが、彼はたどたどしい彼女の看護を素っ気なく振り払い、自分で手早く処置を済ませてしまう。「あまり自分にかまわない方がいい」とミステリアスに呟く青年。シャワーを使い、支給品の衣服に着替えた彼は、誰もがハッと目を奪われるほどの美貌を持っていた。しなやかな筋肉と身のこなし。鋭い感覚。そう……彼は「元・軍人」……しかも征服戦争を引き起こしたケラスィア帝国の【英雄】と称えられるリーベルト少佐であった――
誓いの花冠
「愛しておりました。ずっとずっと……」その言葉と共に結ばれた筈なのに―― ■愛してると言ってくれたのに……どうして……。執事ギルバートに密かに想いを寄せる王女シェリルは、内密に進められていた結婚計画にショックを受け、城を飛び出した。シェリルの異変に気づき、いち早く追ってきたのは執事のギルバートだった。秘め続けていた想いを打ち明け、「王女でなければどうなの?」とギルバートに迫るシェリル。王女の証であるティアラを投げ捨てたシェリルを優しく抱き締めたギルバートは、遂に本音を語った――。互いの想いを打ち明け、求め合う二人。だが、幸せを感じたのも束の間、夢のような甘い時間はギルバート自身の手によって幕を閉じた。悲しみに打ち拉がれるシェリルを余所に、隣国の王子との結婚計画は着々と進んでいく。シェリルは、ギルバートがかつて残してくれた誓いの花冠の想い出を胸に、彼の愛を信じ続けるが……? 身分差の恋を描いた、禁断の初恋ロマンス!
どれほど偽っても、隠しても、愛は真実を暴くもの■エリンワイン親政国は男の帝・金昴帝と、女の帝・銀聖帝の夫婦によって国を支配している。それは遙か昔、守護神によって定められたとされていた。次期銀聖帝として見出された聖なる乙女ディケルは、来月即位と共に現金昴帝ロフトリアスと結婚する。しかしながら、どうしても彼を男として受け入れることができないでいた。おかしい、神によって選ばれたのなら、ロフトリアスを好きになるはずなのに――。悩むディケルに助言を行ったのが宰相のジーズ。盗賊の首領が帝の秘密を握っていると示唆され、会いに行くことになった。そこで出会った夜光という男を見た瞬間、ディケルは衝撃を覚える。そして強く思った。この人が欲しいと――
アイドルだって恋はしたいっ! 先生、私を愛して! ■トップアイドルグループ「sugar」のメンバーである彩音。最近ちょっと人気に不安が。そんな時、マネージャーに言われたのがセミヌードの写真集発売の話。「え? ちょっと待って、それは無理っ。だって私のバストって!」、悩んだ彩音は凄腕豊胸外科医と評判の三上のもとへ相談に行くが、手術ではなくてエクササイズでバストアップを図るという提案を受ける。ただそのエクササイズ、自分で、ではなく三上自身の手によって行われるというもので、もう恥ずかしくて……だっていくら先生でも、男の人にこんな風にあんな風に揉みしだかれたら体の奥底が熱くなってしまって……
その声で囁かれたら体が熱くなってゾクゾクするのっ! ■紀子は子供の頃から人気声優・四ノ宮保の大ファン。四ノ宮のデビュー作のDVDを持っているぐらい。そんな紀子は声優になるべく働きながら声優養成所に通っている。なんと講師はあの四ノ宮!レッスン中さえ彼の声にドキドキと胸が高鳴る。ところが四ノ宮のレッスンは厳しく、紀子は叱られてばかり。「好き」という一言の演技ですらOKが出ない。落ち込む紀子に、四ノ宮が自宅マンションでの特別レッスンを提案。演技の練習を始めるが、白熱するレッスンにいつしか互いの体が重なり合って……「新田……言えって。もっと、練習しないと……お前の台詞、一言だけなんだから……」耳元で囁かれたら心も体も蕩けて演技なのか本心なのかわからなくなって……
逃げ続ける彼女と守ってやると告げる男■昔から苦労をしてきた不幸属性といえるヒロイン・小夜。二年前に婚約解消をした男から逃げるために、彼女は各地を転々としていた。そんなとき、顔に傷のある男・一将と出逢う。素姓不明の謎めいた男だが、ストーカーと化した元婚約者に小夜が連れ去られそうになったところを助けてくれたのだ。守ってやるという一将の言葉に、しだいに身も心も開いていった小夜。だが、小夜は彼に、人生が狂った本当の原因をなかなか打ち明けられずにいて…。
初恋レシピ
隣室に住むのは“華麗なる”漬物男子? ■少年漫画誌で連載を持つ楓は、締め切りを乗り越えたものの、睡眠不足と空腹のあまり涙を浮かべてしまった。そんな彼女の目の前に差し出されたのは、なんと手作りのたくあんと梅干し! 救世主は楓の隣室に住む男子大学生だった。楓の貧しい食生活を知った彼は、なりゆきから食事づくりの“メシスタント”になる。素朴で真面目な彼だが、ワインに詳しく、しかもパーティの際には楓を華麗に変身させてくれた。いったい彼の正体は? 「食」を通じて、絆を深めるふたりのハートフルストーリー。
人魚姫のお話、おしまい。――ねぇ、どうして王子様は自分を助けた人を間違えたの? ■クルーズ船専門の旅行代理店社員・北村美由紀(みゆき)は、社長の門倉浩一郎と恋人関係にあったが、二人の気持ちには微妙なすれ違いが生じつつあった。そんな折、営業成績ナンバーワンの美由紀は浩一郎とともに、アドリア海のクルーズ船視察に出かける。ところが乗船した人気クルーズ船で、思いもかけない火災事故が発生。海に転落した浩一郎を助けようと、美由紀も海に飛び込んで必死に救出したが、助けたのは船に乗り込んでいた浩一郎の幼馴染の女性(恭子)ということに話はすり替えられていた。そして、帰国後に浩一郎と恭子は結婚。失意の美由紀は、視察旅行中に再会したファビオにスカウトされ、クルーズ船会社に転職して再起をめざした…。
気が付けば彼を目で追って、妄想してしまうほどに私の気持ちは膨らむ。■老舗デパート食品売り場を舞台に―― 社員食堂で、商品倉庫で、ロッカー室で男と女の恋の駆け引き、心理戦のバトルが展開される。入社二年目、二十二歳の藤山美月(みづき)は、社内イケメン上位の一人である幸田マネージャーの姿をずっと憧れをもって追っていた。ところがある日、補充商品を捜して足を踏み入れた倉庫内で、幸田と先輩美人社員の安藤さんとが二人っきりでいる場面に出くわす。しかも二人は気配を察知して、何かをごまかすように離れた…。この現場目撃をきっかけに、美月の周りで騒がしく事態が動き出す。モテ男・志田主任からのアプローチ、そして幸田からも猛アタックと。いったい、なぜ?