おおかみこどもの雨と雪

子供の人生選択…その時母に出来る事

おおかみこどもの雨と雪 貞本義行 細田守 優
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

恋した人は、狼男でした……やがて二人の間に姉弟の「おおかみこども」が産まれるが、母子を残して狼男は死んでしまう。人の世界に組み込まれず孤立する母子。生活に限界を感じた母は、ある決断をする。 □□□□□ 物語は、狼と人間の姿を行き来する子供達の成長を追い、人か狼かの生き方を選択するまでを追う。 性格、好奇心、本能……それぞれの人生選択は、丁寧に二人の性質を追う事で、意外なようでいて納得のいく必然性をもって描き出される。そして二人を庇護してきた母の苦労を丹念に描く事で、人生を選んだ子供に最早何もできない苦しみと、懸命の祈りが胸に迫る。 幼い二人の表情の豊かさに癒された後で、生き方を違えた二人の表情の対比に驚かされる。最後まで読み終わった後に、姉弟の最初を見返すと、ひどく懐かしい感じがする。こんなにも遠くに来てしまったのかと。 同名映画のコミカライズである本作が初単行本となった、優先生。感情の描き方の強さと複雑さに、心を動かされる。笑顔、泣き顔の表情一つひとつが強力で、表情につられて貰い泣きする場面が本当に多く、人前でおいそれと読めない感じがする。 (映画版を観ていない感想です)

赤ずきんの狼弟子

これぞ別マガ!重厚ファンタジー開幕

赤ずきんの狼弟子 茂木清香
mampuku
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 「pupa」の茂木清香最新作。互いに捕食・被捕食の関係にある異種族のふたりが、言語や本能を超えて絆を育んでいく物語。  地上の大多数を占める「人間」と、人間を捕食する「獣人」、そして獣人を狩る「狩人」。ヒエラルキーの頂点である種族「狩人」は命を奪うべき相手「獣人」とは本能的に言語でのコミュニケーションができない(情が移らないようにするため)。そんな狩人・ウルが幼い子供の獣人・マニと出会う。  言葉で会話ができない両者は如何にして強く結びついていくのか。さらに、第1話のラストで示唆された信じがたい結末に本当に進んでいくのか。1話読んだだけでこれほど傑作の確信のようなものを得たのは久しぶりかもしれません。(第1話はここで読めるみたいです↓) https://comic.pixiv.net/works/4260#  あと推せるポイントとしてはマニがとてつもなく可愛い!わしゃわしゃしたくなる可愛さというか、庇護欲?父性?母性?育てなきゃ…!!という謎の感情が沸き上がりますw甘々と稲妻ですね。  気になるポイントは、「狩人」という種族の正体ですね。見た目は「人間」と変わらず、人間に仇なす獣人をただ狩る存在。彼らはなぜそのように生まれたのか。それが、もしかしたら先述の結末への足掛かりになるのかも?