プロゴルファー猿

A先生渾身の大長編ゴルフマンガ!!

プロゴルファー猿 藤子不二雄(A)
酒チャビン
酒チャビン

本邦初のゴルフマンガとのことですね。しかも少年誌である週刊少年サンデーで連載です。当時ゴルフは確かに親父たちには人気でしたが、子供たちにとっては、日曜夕方にゴルフ中継を見させられるので、どちらかというとムカつかれる存在だったように記憶しているので、編集部としてもかなりチャレンジだったのではないでしょうか。 ただ、ファミコンでも初代ゴルフはもちろん、マリオのゴルフなどもあって、それらは一定の人気を誇っていましたから、ゴルフ好きの子供たちもいるとのメーケティング結果もあったのかもしれません。ただ、ゴルフ好きの親に吹き込んで買わせていた友達も一定いましたが。 マンガというよりアニメの方が有名だと思います。「ワイは猿や!プロゴルファー猿や!」の咆哮とともに流れるOP主題歌は名曲だと思います。子供向けらしく「旗包み」や「岩がえし」「モズ落とし」など奇想天外な必殺技は、当時かなり子供たちの心を鷲掴みにしました!!!ただ惜しむらくは、ゴルフクラブは触ることを禁止されている家庭が多く(凶器にもなるので)、棒やバットで代用しようとしてもゴルフのようにボールが上がらないので、マネしずらいといった点がありました。。マネしやすい環境があれば、もしかするとキャプテン翼を見てサッカーが大人気になったように、プロゴルファー猿でゴルフ人気が高まるといった世界線があったかもしれません!! しかし22巻とは思ったより続きましたね。。。あした天気になあれ(58巻)にしろそれ以降のゴルフマンガにしろ、長寿マンガが多い気がします。熱烈な固定ファンがつきやすいテーマなのでしょうか。

さるまね

恐怖の猿軍団#1巻応援

さるまね 吉田薫
六文銭
六文銭

猿って怖くないですか? 猿好きな方には申し訳ないのですが、 自分、小さい頃から猿ってあんまカワイイと思ったことないんですよ。 リスザルやメガネザルは多少愛嬌があるとか言う人もいたけど、全然理解できなかったす。 たぶん、微妙に顔が人間似ているところとか、愛嬌どころか打算的というか小賢しい感じが好きくない理由なんだと捉えてます。 日光さる軍団の猿回しとか正気の沙汰じゃないっすよ。(なんでだよ) そして、まさに自分の気持を投影し、逆撫でしてくるような作品がでました。 それが、この作品です。 猿が人間のマネをして、人間の道具や武器を使いこなし襲ってくる話。 その習得の仕方なんですが、目をギョロギョロして道具を眺めるんですけど、それが見ていて心底腹立つんです。 なんだ、その目は!と昔の体育教師ばりに顔面平手打ちしたい。 すぐにマネできるくらい知性はあるんですけど、基本理性がないので、本能で行動している感じも余計に腹立つ。 対策として、マネされないよう武器を使う姿を見せてはいけないようなので、何もしない、我慢するだけなのですが、それも歯がゆい。 とまぁ、腹がたってばっかですが、実際内容は結構ホラーで全然笑えないです。 マネできたこと(投石や棒で殴るなど)で襲ってくる猿の容赦ない行動に村人はどんどん犠牲になっていきます。 また、舞台が江戸時代なので、火縄銃みたいな猟銃くらいしかなく、近代的な武器がないのも恐怖ポイント。 ライフルがあれば、ぶっ放したい。 主人公は温厚で優しすぎるきらいがあるようですが腕はたつよう。 まだ1巻では戦っておらず、彼が今後猿とどう戦っていくのか?気になります。 息子とか奥さん、主人公の家族が危機的な状況なのも不安です。 もし家族がこの猿たちに殺されてしまい、その怒りで、山にこもり、音を置き去りにしながら祈る時間が増えた状態まで仕上げてきて、 「この腕力までは真似できまい」 と、この世から猿達を駆逐する復讐鬼と化したら最高だと夢想します

ダーウィン事変

人間社会の異質なこと、考え方、色んなことを考えさせられる。

ダーウィン事変 うめざわしゅん
干し芋
干し芋

2巻まで読了。 人間ととチンパンジーの間に生まれたハイブリッド、ヒューマンジーのチャーリー。 母親のチンパンジー、エヴァは天才で、認知能力では、人を上回り詩まで作っていたという。 そのエヴァに興味を持ち研究を始めたグロスマン博士は、まさかの子どもまで作っていた。 同僚の間では、「二人は恋仲だ」とも言われていた。 エヴァは、出産のダメージで脳に障害が残ってしまい、現在は、一般のチンパンジーより認知能力は低い。 しかし、15年経って、チャーリーが会いに行ったとき、今では、認知能力のないエヴァが、カードでメッセージを伝えようとしてきた。 これは、ただでたらめにカードを選んだだけなのか? 謎が深まる! 現在は、人間の両親の元で育てられ、高校に通い始めたチャーリー。 この、漫画の魅力のひとつは、やっぱりチャーリーがキュートなこと。 眼がくりくりしていて、鼻の下が長くて、耳が大きく、口の形がちょっと河童みたいで、ほんとかわいい♬ そして、運動神経が信じられないくらいに良い上に、考え方も論理的でクール。 次々と降りかかる、事件をどうやって対峙し解決していくのか。 人間とは認められていない、ただの物としての扱いにしかならないチャーリーの未来はどうなるのか。 本当に、楽しみしかない。

ダーウィン事変

ヒューマンとチンパンジーのあいの子、ヒューマンジーチャーリー

ダーウィン事変 うめざわしゅん
さいろく
さいろく

こりゃー事変だ。 3巻まで一気に読了。 すごい漫画だ、そしてすごくアメリカだなぁとつくづく感じる。 かといってこの題材で日本だと現実味はないとわかっててアメリカなんだろう、想像してみりゃわかる自然さと、リアルすぎる文化が入り交ざっている。 どうなっていくんだろう、どうするんだろうという期待も含め、これまで自分の読んできた短い名作たちと同じ短めな物語になってしまうのを想像してしまう。 ただ、自分の感覚ではこの時点ですでに名作だ。 自由の国では何を主張してもいい、みたいな風潮はあるけど主張したことで起こるその後の事については誰も守ってなんかくれない。 例えば(この漫画でも序盤に話題に出てくるが)私はヴィーガンはある種の宗教のようなところがあると思うけど、多数の人が集まるとそうなってしまうもんなんだろう。 ヒューマンジーであるチャーリーは唯一無二だが、この世界において生を受けたという意味ではただの一人でしかない。ONEであることはひどく難しい、というのがよくわかる。 なんか色々言いたくなる漫画でもあるなー、とにかくすごい漫画。 単行本派なので次号で終わってしまいそうな心配も少しあれど、それはそれで仕方ないとも思う。 うめざわしゅん先生の知識や想像力がいかんなく発揮されているので、この後の目を瞠る展開を楽しみに待ちたい。

ケントの方舟

環境問題への意識が突き抜けている

ケントの方舟 毛利甚八 魚戸おさむ
ひさぴよ
ひさぴよ

オゾンホール問題やダイオキシン問題など、日本において環境問題への意識が最高潮に高まっていた90年代。その最中に連載されていたのがこの「ケントの方舟」です。 私の好きな「家栽の人」毛利甚八&魚戸おさむコンビなので、”良い漫画”として紹介をしたいのけど…いやいやこの漫画、なかなかの過激な思想を持つ漫画でした。 ゴリラの研究をしているサル学者・森野賢人が区議会議員選挙へ打って出て、型破りなやり方で環境保護政策を進めていくというのが基本ストーリーです。 森野の穏やかな表情とは裏腹に、突拍子もない構想を抱いている事が次第に判ってきます。 例えば、ゴリラのために東京都内に森を作り、森の壁で分断しようとする案。 さらにはゴリラと人間をかけあわせて森と人間の融合を図る案など、どう考えてもヤバい思想です。 環境問題に熱心な人ですら同意困難なレベル。 そういった考えを公に発信しているわけではないものの、ふとした時に本音が漏れ出てくるというか。もちろん漫画の中では肯定されています。 おそらく森野の中で優先順位は、自然>ゴリラ>人間なんです。 環境問題が加熱していた時代特有の狂気を感じました。 おもわず「マッド・エコロジスト」という言葉が頭に浮かんだので、ここに書き残しておくことにします。