ブッダ

手塚治虫の中でも一番

ブッダ 手塚治虫
さいろく
さいろく

一番面白い、とは言いません。でも一番好き。 漫画を読み始めた小学生の頃、実家にはブッダの愛蔵版と秋田書店版ブラックジャックの単行本とDr.スランプがあり(後に手塚作品は拡充されていってたけど他は自分で買うようになった)それらをひたすらに読み返していたので思い入れも一番深いです。 火の鳥は雑誌ぐらいの大きさの○○編とかごとに別れてるやつがピアノの先生の家にあって待ち時間に読むのが楽しみでした。 なんか書いてるとすぐ脱線してしまう。。。 ブッダ(仏陀)に関して、私は正直この手塚治虫のブッダ以外の知識がないです。本来の意味としては「悟りを開いた人」ということだったと思う。 ただ、どこまでが世間一般で言う意味合いと合致しているのかわからないのでそこは置いときます。 今作はシッダールタがブッダとなり亡くなる(正しい表現じゃなかったらすみません)までの間の物語。 宗教的な背景や知識がなかった小学生でも、シッダールタを取り巻く登場人物たちや出来事のインパクトに惹き込まれあれよあれよと最後まで読み切り、また何度でも読み返してしまうほど深い作品でした。 タッタがすごい好きだったなぁ…ダイバダッタが本当に憎くて、でもみんな憎みきれない感じのストーリーを持ってるんですよ。 一言で言い表せない内容で、なんとも感想が書きづらいけど、本当に面白いし読まないのはほんと損だと思う。 人生への影響が色濃く強い!というほどではないかもしれないけど、きっと心に残ると思います。 大人になってから行ったタイ旅行で見た涅槃像を全部ブッダだと思って見てました。心臓を上にして横になるので右肘で頭を支えてるんですよね。これも事前知識なく手塚ブッダで学んだことだったけど合ってました。楽しい。

ブッダ

超おもいでの作品

ブッダ 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

高校生の頃(すでに手塚先生は亡くなられていましたが)、火の鳥を読んで、その面白さに圧倒され、続けて読んだのがこのブッダで、それまでに読んでいたマンガとは完全に別格の面白さに、すっかり虜になりました。わたしがヅカラーになる決定打となった作品で、とても思い入れがあります。この度、再読して、その面白さを再確認しました。 もし「ゆうれい小僧がやってきた!」がもう少し面白ければ、ゆでラーになっていたと思うので、人生なにが起こるかわかりません。 本作品は、ブッダの生涯を描いたものですが、物語は生まれる少し前からスタートします。 仏教の教えについては、そこまで詳しくないので、この作品に書かれている数々の教えが、仏教の教えそのものなのか、それとも手塚先生なりのアレンジが加わっているのかは分かりません。本作中のブッダは、決して最初から聖人だったわけではなく、どちらかというと問題児的な部分や弱い部分もありながら、いろいろ経験していく中で迷いながら悟っていくので、自分を諦めない勇気をもらえます(作中の弟子たちも皆そうです)。 ただ、実在のブッダや本作品中のブッダが数多の人の心をお救いになったように、手塚先生は本作品によって、わたしの心をありがたくもお救いになられました。その意味で、手塚先生は、巷間言われているとおりマンガの神様であると同時に、我が心の仏様でもあります。 ちなみに、作中登場するタッタ、ミゲーラ、チャプラ、ブダイ将軍、バンダカ、アッサジあたりは手塚先生のオリキャラだとのことです。まぁ正確な歴史を知りたいわけではないので、別に良いですし、むしろその辺のオリキャラの存在によって、より心根に響く作品になっていると思います。

仏ガール

きっと仏像に会いにいきたくなるマンガ

仏ガール 柚ちえこ
兎来栄寿
兎来栄寿

1コマ目が誕生釈迦仏、2コマ目が軍荼利明王のポーズの真似をする主人公から始まるマンガもなかなかないでしょう。 この作品は、「仏像変態」と呼ばれるほど仏像に偏愛を寄せる美術部顧問の江西先生と、その教え子である城上(しろかみ)さんが主人公の物語です。 江西先生の推しと押しの強さによって、城上さんはさまざまな仏像巡りに付き合わされていきます。 京都・奈良を中心とした寺社仏閣、平等院や永観堂禅林寺などが精緻に描かれ、思わず二重の意味での聖地巡礼をしたくなるほどです(六波羅蜜寺の空也上人像のエピソードでは『空也上人がいた』などもフラッシュバックしつつ……)。 とにかく江西先生のキャラが濃く、 「才能のある後輩やなんで売れてるかわからない作家を見ると気が狂いそうになるわ」 「みんなも早くお酒飲める歳になるといいわねえ  飲んでる間は嫌なこと忘れられるわよ〜」 と、闇の深さ・人間的な弱さを生々しく感じさせます。 一方で、 「私たちは結果が出ない時不安になっちゃうけど… 人間いくつになってもアップデート可能なのよ!」 「人生の時間を使って何かやってるだけで偉いわよ」 といった言葉で教え子を優しく導いていく側面もあり、仏像を通して開いた悟りの境地を感じさせてくれながら読み手である現代人にも寄り添ってくれる内容となっています。 作中でも語られる通り仏像を見ている瞬間に私たちは仏像を通して自分の願いや悩みを見つめ直していて、そうした瞬間を人生の中に持つことは大事であると思います。この作品を読む時間もそれに近しく、間接的にそうした効用も生まれるかもしれません。

沙門空海唐の国にて鬼と宴す

休載があまりにも惜しい名コミカライズ…

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 夢枕獏 大西実生子
たか
たか

偶然このコミカライズを知り、美麗な表紙に惹かれて読んでみた作品。1巻の発売が2013年とのことで一体どういうことか調べると、連載先のサムライエースが休刊となったタイミングで休載。映画化に合わせて再開予定だったとのこと。 https://natalie.mu/comic/news/106687 が、結局その後発売されたのは映画のコミカライズ 「空海 -KU-KAI- (夢枕獏/睦月れい 全2巻)」だった…という流れのもよう。(もっと経緯に詳しい方がいらしたら是非教えて下さい) **スタイリッシュさと色気・生々しさを兼ね備えた線のタッチが好き。**背景や衣装も史実に基づいた説得力のある描写がされているところもいい! また、硬派で一辺倒の落ち着いた語り方をするのではなく、コメディシーンでは漫画らしいデフォルメも使われていて、読んでいてすごく楽しかった…! 最近は「リアリティライン」という言葉もあるけれど、硬派な世界観を壊さない絶妙な加減で漫画っぽさが加えられていて本当にすごいと思う。 逸勢と空海、2人の心の動きも本当に丁寧に描かれていて、作品世界にガッツリのめり込むことができました。叶うなら何らかの形で、一応の完結に持っていってほしい作品です。 (画像は1話の扉絵。これだけで期待しかないし、期待通り最高の本編だった)