概要
『釣りキチ三平』、『マタギ』、『おらが村』――― 大いなる自然と野性をダイナミックかつ緻密に描き、惜しまれながら2020年に逝去した唯一無二のマンガ家、矢口高雄(やぐち・たかお)。その画業を膨大な原画とともに振り返る一大回顧展、開催決定! 日本の情景を愛し、ふるさとを描き続けたマンガ家・矢口高雄。手塚治虫作品との衝撃の出会いから「マンガ家になる」という夢を抱くようになった矢口は、地元銀行に就職後、行員として働きつつも絵を描き続け、1970年にプロのマンガ家へ転向します。銀行員からの転身、30歳を超えてからの作家活動と、異色の経歴を持つ矢口の名を一躍有名にしたのが、73年に発表した『幻の怪蛇 バチヘビ』と『釣りキチ三平』です。自身の経験や育った地域を題材に、大いなる自然と野性をダイナミックかつ緻密に描いたこれらの作品は大ヒットし、唯一無二の作風を確立しました。 本展では、2020年に惜しくもこの世を去った矢口の画業50年を、躍動感あふれる数多の原画とともにご紹介します。郷愁を感じさせる普遍的な日本の情景、生きものたちの命のきらめき、感情豊かな愛すべきキャラクターたち。マンガを愛し、マンガの力を信じ、描き続けた作家の迫力の手仕事をどうぞご堪能ください。 ⁑ 展覧会構成 ⁑ 1章/模索の時代 2章/独創の時代 3章/釣りマンガの金字塔 釣りキチ三平 4章/矢口高雄の肖像 5章/ふるさと 本展では矢口の画業を5つのテーマに分けて紹介します。1章ではさまざまなジャンルに挑戦し自身の作風を模索していた初期作品を、2章では自らの経験を題材に独自の表現を確立し、『幻の怪蛇 バチヘビ』『マタギ』などを生み出した独創期の作品を展示。代表作かつ圧倒的な人気を誇る『釣りキチ三平』のカラーイラストと名シーンの原画を3章に特集し、4章では『オーイ‼やまびこ』など自伝的作品を通して作家像を探ります。5章では四季折々の情景が描かれたカラーイラストなど、矢口のふるさとへのまなざしが表れた作品を取り上げます。