概要
「この世界の片隅に」は,こうの史代(1968- )により2007(平成19)年から2009年まで『漫画アクション』に連載された漫画です。連載当初から高い人気を誇り,2009年には「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」優秀賞を受賞,2011年にはテレビドラマ化も行われました。このたび多くの方々の支持を得てアニメ映画化が決定し,今秋10月公開の運びとなりました。 主人公すずは,戦時下の昭和18年,呉海軍工廠に勤める青年の妻となるため,広島から呉の北條家に嫁いできます。おおらかな性格の彼女は,乏しい食糧に頭を悩ませ,迫りくる戦争の影におびえながらも,得意な絵を描き,日々の暮らしを慈しみながら生きていきます。すずのような,ごく普通の人々のごく普通の暮らしを描いた「この世界の片隅に」という物語を通して,戦時中,広島や呉に起こった出来事を振り返り,人間として生きることの意味を探ります。 本展では,こうの史代のマンガ原画(デジタル複製含む)約450点をはじめ,取材ノートや写真資料を展示します。アニメからは原画,レイアウト,背景美術など,片渕須直監督の世界を彩る貴重な資料が出品されます。また,昔ながらの手作業と最新のデジタル技術によって作られるアニメーションの製作過程を紹介し,「この世界の片隅に」の世界に迫ります。進化を続けるマンガ,アニメの魅力とその創造力をぜひ体感してください。