夢に落ちる少女

黒髪のベタが良いふたりの少女のお話 #1巻応援

夢に落ちる少女 しぐま
兎来栄寿
兎来栄寿

「共依存鬱百合コメディ」の響きだけで強くなれる気がしますね。ささやかな喜びを潰れるほど抱き締めるような物語が好きな皆さん、こんばんは。 しぐまさんがwebで連載していた本作が、まず昨年末に本として発刊されました(それは 同人誌と言うには あまりにも大きすぎた 大きく ぶ厚く 重く 大ボリュームだった)。そして、この度各ストアで電子版の配信も始まりました。264Pの同人ということで紙版は3000円を超えていましたが、電子版はかなりリーズナブルにお求めいただけるようになったと思います。 「ボク」と「オレ」のふたりの少女の掛け合いを中心に繰り広げられる物語ですが、とにかく先ずしぐまさんの絵が好(ハオ)ですね。黒髪に対して真っ黒にベタを塗る人は昨今逆に少なくなっており、吸い込まれそうな漆黒の髪と瞳に郷愁すら覚えます。本作以外のイラストなどでも、黒の使い方がとても良い作家さんです。 そして、そんなふたりのそれぞれのキャラクター性が話が進むにつれて細かく描かれていき、数々のエピソードと共に両者への愛着が高められていきます。「オレ」の方が背が低いけどカッコいいところとか、「ボク」のみならず読んでる方もときめいてしまいます。 序盤は「コメディ」部分が強めですが、徐々に出てくる「共依存鬱」パートがまた非常に良く、私が本作を推す理由となっています。 百合好きの方にはもちろん、そうでない方も読んでみて欲しい魅力のある作品です。

ハイパーインフレーション

クセ強めで内容も面白い漫画好きな人は垂涎の一作!

ハイパーインフレーション 住吉九
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

未読の君、まだ読んでないなんてもったいすぎるぜ…!! 読んでる奴らとはダチになれそうだ!! なぜなら俺たちはルークさんを知っているから!! 俺たちの救世主!!ルークさん!!はわわ……! と、読んだあとちょっと変なノリをしてみたくなるほどにこの漫画は魅力的です。 時代設定は我々の地球でいうどのへんか分かりませんが、17、18世紀あたりの技術レベルでしょうか?もっと前なのかな? ヴィクトニア帝国という大国があり主人公はその帝国に搾取される側の植民地に住む少数民族で、金貨や経済などあるもののわりと原始的な生活を送っていた。 幼少期に両親が奴隷狩りに殺害されてから7年後、12歳になったルークは奴隷狩りに対抗すべく知恵を使い騙したり工夫して帝国と商売しお金で安全を買おうとしていた。 しかし、その矢先に再び奴隷狩りにあってしまい、自らも捕まり大好きな姉を連れ去られてオークションにかけられてしまうことになり、殴られ朦朧とした意識の中で神にあい、とある能力を授かる。 本来、年頃の人間が当たり前のように享受しているのが「生殖能力」だが、神はその代わりにルークに授けたのが「金を生み出す能力」だった。 しかも、まだもろもろ不明だけど帝国の紙幣、しかも全て通し番号が同じ偽札…。この能力と知恵を武器にルークはどう戦っていくのか! お姉ちゃんを取り戻すことはできるのか!? という話です。 第1話→https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331749163174 話の設定や展開、ハッタリや知恵比べのようなギャンブル的な部分はもちろん面白いのですが、合わせて注目してほしいのはこの作品の根底に流れるセリフ運びのテンションやリズムとキャラたちのノリ!! 初期のジョジョを彷彿とさせる! そこにシビれる!あこがれるゥ!!的な香りがするゥ!! みんな大真面目なので最初は真剣に読んでたんですが、途中からもしかしてこれって笑って読んでもいいんじゃないか?というシリアスな笑いに思えてきますし、実際そこはかなり意識されてるんじゃないでしょうか。 生殖能力の代わりに授かった能力なので、金を生み出す時にドクッドクッってなるのや、頬を赤らめてちょっと汗かいてはぁはぁしているのもおもしろい…。 そのクセの強さに、やみつきになってしまう自分が愛おしいです。 画像:第1話57pより

殷周伝説

紀元前1100年くらいの話です。

殷周伝説 横山光輝
酒チャビン
酒チャビン

今から3000年も前の話ですね。おそらく人間の形とかも今とは全然違ったでしょう。さすがに。 舞台は中国は殷の時代です。三国志とかそういう感じの作品と同じジャンルです。読み味も似ています。 ただ個人的には、同作者の史記・三国志・水滸伝・チンギズハーン・織田信長・豊臣秀吉・武田信玄あたりと比べてイマイチ入り込めませんでした。 やっぱ前提として登場人物のことを知らなかったんですよね。他のは光栄などのお陰で、かなり武力の値や兵科の種類などかなり知ったうえで読んでいたので、脳内で膨らませられたのだと思います。 そういった意味では、やはりマンガにおける登場人物の掘り下げって、すごく大事なんだなと気付かされた作品になりました。横山先生、死してなおありがとうございます。 あと紂王と妲己が本当にやばくて、早く倒してもらってスカッとしたかったのですが、まさか最終22巻までこの方達がラスボスとして居座り続けるとは思いませんでした。 まぁ史実(というか3000年前だと史実かすらもわからないですが)なのでしょうがないのですが、やはり当初のボスは、いい塩梅のところで倒されてもらって、その後さらに極悪で強いボスが登場する、という作りの方が物語としてはエモーションを感じますね。 でも読んでよかったと思ってます。