兄に付ける薬はない!

中国の学生のドタバタ日常マンガ! #1巻応援

兄に付ける薬はない! 幽・霊
たか
たか

最近5期の最終回が放送された『兄付』。2017年にジャンプラで連載されたのがきっかけで読んで好きになった作品で、久々に読んでもう5年も前になるのか…と驚いてしまいました(アニメは当時1〜2期を観ました)。 親が離婚し、基本的に2人だけで暮らしている高校生の兄・時分(シーフン)と時秒(シーミョ)のドタバタした日常を描いたお話。絵のタッチ・デフォルメ・色使いが柔らかくてすごく可愛いし、食事や行事(労働節・新年のお祝い・軍事教練など)に現れる中国文化がすごく面白い! 異文化を感じるところと同じくらい、それ以上に学生の日常マンガだけあって国を超え共感できるところがたくさんあって読んでてただただ楽しい。兄が妹にボコボコにされるのってどこもそうなんだなぁ。 そしてドタバタギャグっていうだけでなく、家庭環境のシリアスさも垣間見えて作品全体の緩急のバランスもすごくいい。 そして翻訳がすごく自然で読んでて全く引っかかりがないのも個人的に超推せます。 (原文を尊重しすぎて日本語でしない表現をしてしまい訳がぎこちなくなることってよくあると思いますが、そういうのが全くと言っていいほどなくて100%作品に集中できます。最高) ずっと続刊を待っていたのですが結局出ず本当に悲しい……。 2巻以降に相当する30話より先のお話は全部無料で公開されており読めるには読めますが、本になってほしかったです。 (中文では3巻まで出てるみたいです→幽·灵 『快把我哥带走』) 今回読み返すまでずっと、どうして著者の幽・霊先生は名前に中黒が入ってるんだろうと思っていたのですが双子の姉妹でらしたんですね。 他にも『我的表哥去留学』『头条都是他』など作品を書かれているそうで、こちらもぜひ読んでみたいです。

ビッグX

連載時代人気だったスーパーヒーローもの

ビッグX 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

少年ブックに1963年〜1966年に連載された作品です。連載当時大人気だったようで、連載も長く続いています。 話は特殊な薬品で鋼鉄のような体になったり、巨大化したりしながら悪役を倒すスーパーヒーローものです。「サイボーグ」という単語がしょっちゅう出てきますが、この作品の連載中に連載が開始したサイボーグ009の影響があったのかも知れません。 敵としてナチスが出てくるのですが、総統をはじめ幹部どころも実名で登場していて、だいぶ攻めているなぁと感じました。 主人公は、基本、敵であっても殺さずにすぐ助けてしまいます。意図的にそういう設定にしていると思われますが、見ているこちらからするとすごくもどかしく、ハラハラ・イライラします。何気に手塚先生自身も「やたらと正義の味方ぶるからあまり好きな作品ではない」と語られており、後年の大人向け手塚作品への伏線を感じます。 正直、私もいい大人なので、シンプルな勧善懲悪のスーパーヒーローものを無邪気に楽しむことができなくなっており、読んでいて「すごく面白い!」というものではありませんでした。 ただ、夏みかんの袋の中にある粒々一つ一つが一つの細胞だとか、鳥の卵が一つの細胞だとか、そういう科学的な知識は、知らなかったのですごくためになりました。さすが「空想科学マンが」だと思いました。

ドン・ドラキュラ

連載時は不人気でしたが、名作と遜色ない面白い作品だと思います。

ドン・ドラキュラ 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

あまり人気は高くない気がしますが、かなり面白いです!!少年チャンピオンでブラック・ジャックの後を受けて1979年に連載された作品です。 ブラック・ジャックと同じく、主要なキャラクターを中心とした1話完結ものが続くスタイルで、このスタイルにはブラック・ジャックと本作の他、ミッドナイト、七色いんこなど名作揃いのお得意なスタイルです! とにかくキャラも皆楽しく、好感が持てます!ドラキュラとチョコラの親子はもちろん、イボジがすぐに破裂してしまうヘルシング教授(そのせいでいつも貧血気味なので、血を吸うドラキュラに敵意を燃やしており、吸血鬼撲滅研究所の所長をやっている)や、サイコパス気味で行動が破天荒な村井警部、よくわからないブロンダなど皆魅力的です! ドラキュラもニンニク・水・日光・杭など弱点がかなり多く、しょっちゅう灰になってしまっています。 本人もかなり楽しんでノッて執筆していたとのことで、ギャグなどは手塚作品屈指の切れ味だと思います!かなり面白いです!!! ただ連載時の人気はイマイチだったようで、半年ほどで打ち切りに・・・こんなに面白いのに・・・ ちなみにアニメも打ち切りになっていて、放映話数はなんと4話・・・史上最速の速さです・・・ ただ、不人気というよりは大人の事情での打ち切りだったようで、そこは安心しました! 小山高生さんは、ドン・ドラキュラのアニメが思いがけず早期打ち切りになったことによって、ドラゴンボールのアニメに関わることになったとのことで、縁というものは不思議だなあと思いました。 https://twitter.com/koyamatakao194/status/1455183876792340480

空気の底

名作・佳作揃いの短編集!

空気の底 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

「オッス!おバンです ぼくは田所満男 徹夜で勉強机を前にウンウン唸っている諸君! それともグロッキーになってゴロ寝でうとうとしている諸君! 聴いてくれたまえ そして話しあおうモロモロの人生論 そして音楽を!」 の名台詞でお馴染みのカタストロフ・イン・ザ・ダークも収録された短編集です。漫画アクションやビッグコミックの好評を受けて秋田書店から刊行された青年向けマンガ誌「プレイコミック」創刊から掲載された手塚先生による短編を集めたものです。 手塚先生の青年向けマンガは長編も短編も粒ぞろいでハズレがないのですが、こちらも短編ということで小粒ながらもピリリと辛い珠玉の作品たちが収録されています。手塚先生もこのシリーズはかなり気に入られていたようですね!聖女懐妊の最後のページは神秘的で感動ものでした! 収録作品は以下のとおりです。B6版の全集とは違ってるので、そこは注意です。 空気の底シリーズ  Lジョーを訪ねた男  L野郎と断崖  Lグランドメサの決闘  Lうろこが崎  L夜の声  Lそこに穴があった  Lカメレオン  L猫の血  Lわが谷は未知なりき  L暗い窓の女  Lカタストロフ・イン・ザ・ダーク  L電話  Lロバンナよ  Lふたりは空気の底に 処刑は3時におわった おそすぎるアイツ 聖女懐妊 帰還者