あらすじ

恋人の過去が気になって仕方のない男とヤリマン疑惑の彼女――。二人がみつけた“明るい未来”とは。ブラックラブ・コメディ、堂々完結!
彼女と彼氏の明るい未来 1
さえない男・一郎と、奇跡の彼女・ゆきか。ハッピーエンドを目指して迷走する、ブラック・ラブ・コメディ開幕!
彼女と彼氏の明るい未来 2
恋人の過去が気になって仕方のない男とヤリマン疑惑の彼女――。二人がみつけた“明るい未来”とは。ブラックラブ・コメディ、堂々完結!
じゃあ、あんたが作ってみろよ

じゃあ、あんたが作ってみろよ

社会人カップルの勝男と鮎美。大学時代から続いた交際は6年目を迎えようとしていた。同棲生活にも慣れ、そろそろ次の段階へ…と考えていた勝男だったが、そんな彼に訪れた、突然の転機とは……!?慣れないながらに作る料理を通して、今までの「あたりまえ」を見つめなおす新時代の恋物語。単行本描き下ろし漫画に加え、電子版限定で雑誌収録時のカラーページも収録!
週刊 元恋人を作る

週刊 元恋人を作る

もう会えないなら、作ればいいよね。 毎号届くパーツによって元恋人が再現できるという雑誌『週刊 元恋人を作る』が発売。 学生起業を目指す優等生のななみは、失恋の痛みを癒すため、 密かに『週刊 元恋人を作る』で元カレ作りを始めるが──。
美しい私たち

美しい私たち

私たち、キラキラ輝いていた。 あの日、世界が終わるまでは── 突如、地球に飛来したUFOの攻撃により、人類は滅亡の危機に陥る。 美容やファッションに一生懸命だった「私たち」も、いつしか鳩を追いかけ、缶詰を漁る日々を過ごしていた……。 第26回手塚治虫文化賞「新生賞」に輝いた谷口菜津子が紡ぎ出す終末に生きる女子たちの物語。
砂糖と塩

砂糖と塩

愛されキャラの嫁に振り回される姑、見栄と性欲まみれの高校生、子育てを終えた女たち…。「第26回 手塚治虫文化賞」新生賞の谷口菜津子が描く、6つの"友情"をめぐる物語
うちらきっとズッ友 ―谷口菜津子短編集―

うちらきっとズッ友 ―谷口菜津子短編集―

転校生の卯月ちゃんは特別な子。特技はアイススケートでトリプルアクセルが飛べるみたいだし、超人気アイドル・KEENくんとは親戚らしい。私のこの気持ちがKEENくん本人に届くかも――!? でも・・・卯月ちゃんの話は、どこかつじつまが合わない。ウソをついてるとしたら、それって悪いことだよね? 私はいったい、どうしたらいいのか・・・。噂の転校生と夢見がちな少女、見栄と性欲に振り回される高校生、子育てを終えた女たち・・・。「第26回 手塚治虫文化賞」新生賞の谷口菜津子が描く、6つの”友情”をめぐる物語。
ふきよせレジデンス

ふきよせレジデンス

夢破れ、人間関係をリセットした配達員・リクは変わっていく周りに焦燥感を覚えていた。そんなリクの唯一の癒やしは、ちょっと変わったコンビニに勤めている店員のきらり。明るくて可愛いギャルのきらりには、秘密があって……!?これは、「夢」と向き合い「日々」を思案する、あるアパートの住人たちの物語。■谷口菜津子ビームコミックス既刊■・『彼女は宇宙一』・『彼女と彼氏の明るい未来』全2巻・『教室の片隅で青春がはじまる』■[コミックビーム]公式Twitter■@COMIC_BEAM
今夜すきやきじゃないけど

今夜すきやきじゃないけど

第26回手塚治虫文化賞・新生賞を受賞した『今夜すきやきだよ』シリーズ最新作! 広告代理店に勤める姉・たつきと、自分探し中の大学生の弟・とらお。片付けられないたつきの家にとらおが転がり込んだことから始まった血が繋がらない2人の同居生活は、毎日もやもやストレスばかり。頑張ってもなかなか上手くいかずに焦るたつきと、就活に疑問を持つとらおが自分の幸せを探していく……。片付け&ズボラ料理テクにも注目!
彼女と彼氏の明るい未来
恋愛において普遍的なテーマでもある恋人の過去の相手
彼女と彼氏の明るい未来 谷口菜津子
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
恋人の過去の相手が全く気にならないという人は極少数なはず。 そんな誰しもよぎったことのある思い、疑惑、心配性、ネガティブさを最大限に高めて爆発させて包み込んだのがこちらの作品。 最高に揺さぶられる。 全く付き合ったことがないわけでもないが、ロクな女性と付き合ってこなかった一郎。 流されるままに、性格もブスな女性や、自己評価低すぎてネガティブすぎる女性、占いやマルチにハマっている女性と付き合ったりして散々な思いをしてきて若干こじらせてしまった一郎。 現在、そんな一郎(28)が奇跡的に2年付き合ってるのは、性格も良くてめちゃくちゃにかわいいゆきかちゃん(28)だから余計に過去が気になってしまう。 そんなある日、居酒屋で言われるがままにゆきかちゃんの写真を見せていると隣で飲んでいた男に見られ「この女ヤったことある!超ヤリマンなのよ!しかも乱交しちゃった♡」と無茶苦茶に最低&失礼な外野がいたもんで、元来の心配性とネガティブさがムクムクと膨れ上がりいても立ってもいられなくなってしまう。 そんなときにちょうどよく?現れてしまった誰の過去でも見れる(情報を収集してシミュレーションして再現する?)VR。 一郎はどうなってしまうのか。 真実とは!? 「恋人の過去の相手が気になる」というのは「最近の若者は・・」という言葉が古代エジプトの石碑から見つかったのと同じくらい世界中で普遍的なテーマな気がする。 結婚相手以外に処女を奪われたら、奪われた女性側が死刑になってしまう国さえあるし、いろんな宗教があるが処女であることをどこでも重要視しているように感じる。 声優も処女であることを求められるというのを聞いたことがあって大変な世界だなと思う。 それほどに世の男性は処女だとか、初めての相手という部分に縛られ頭を抱えている人、女性から言わせると「キモい」人が多い。 だが、そんなのは野暮以外のなにものでもない。 今が違えば過去のことは関係ないし、相手も自分も現在が幸せであればいいじゃないかと思う。 そう、思うのだけど・・。という永遠ループの悩みがこの漫画だ。 乱交、それが事実かどうかは置いておいて、その結果にとらわれて本質を見失ってはいけない。 たとえ事実としても、大事なのはヤったかどうかじゃなく、なぜやったのか、彼女にはそこに至るまでの背景や理由があり、それを現在黒歴史として隠しているとしたらなぜ隠しているのかまで考えなければ相手の気持ちを思いやってるとは言えないんじゃないか。 相手の優しさかもしれないのに。隠したいのであればそっとしてあげればいい。 そして、本来乱交の事実を確かめるすべなど、本人に聞くしかないはずなのに登場してしまったのが、謎のVRだ。 これが事態をややこしくしてしまった。 こんな本当かどうか怪しい機械の情報をストンと信じてしまう。 本当かどうかも分からないのに。インプットした脳内の情報・願望・妄想を勝手に読み取って映像化するマシンなのかもしれないのに・・。 そして一郎は事実かどうかも曖昧な判断材料でさらなる妄執に囚われどん底に堕ちてしまう。 純文学的とも言えるテーマを新しいギミック(VR)の導入で新しく描き、素晴らしいデフォルメ具合の絵で表現されているのがめちゃくちゃにいい! 作者の谷口菜津子先生は漫画家の真造圭伍先生とご結婚されているので、もしかして一郎は真造圭伍先生がモデルだったり?と勘繰ってみたり。 1巻のあとの最新9話に出てくる女性たちの証言もよくあるというか、なんだか三者三様でリアルだけど、女性は男がいるところではあまり言わなそうな話だよなーと。でもそこは作者が女性っていうの思い出して、少し腑に落ちる。 すごく男性主観の話なのに女性が描いているのは本当に凄い。 久保ミツロウ『モテキ』や新田章『あそびあい』もそうだ。 奇しくも二人共男性っぽい名前を使っているのも面白い。 悩んでいるときに一人で思い悩んでクソみたいな考えが醸成されて突っ走る前に周囲に話を聞いているというのは、一郎がコミュ障でもないごくごく一般的な男性という描かれ方をしているからこそなんだか救いはありそうな気がしてくる。 もしくはだからこそ共感できて絶望が広がるのか。 誰しも囚われかねない妄執に区切りをつけて過去の相手ごと恋人を愛する決意をすることで有名なのが「めぞん一刻」だ。 変えられない過去を受け止め前に進む、あまりに有名すぎるあのシーンは感動的だ。 そこに到達できてようやく本当の恋人と言えるのかもしれない。 頑張れ一郎!幸せなはずの現在を、現実を見るんだ!