信州は長野県小諸市。市内の芦ノ原中学校に通う晴ボンこと柏木晴は同じクラスの親友、市野清文とその恋人、青木理美といつも一緒。ある日、ひょんな事から柔道部の信州ヒグマこと坂口光明が理美ちゃんにホレてしまい大騒動! そこに春ボンに想いを寄せるオテンバ娘マッキーこと迎麻紀も加わって?? 恋に友情、そして時にはケンカも……真剣に悩み、語り、そして信じ合う仲間たち。信州小諸、芦ノ原中学校を舞台に「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー。 読み切り作品『12月の唯』も収録した小山田いく青春3部作第1弾!! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『ボクの住んでいる信州・小諸は、軽井沢に近い小さな高原の街。そこで育った信州りんごの味をそのまま…ボクは漫画に描ききれたかナ? なにはともあれ、新種のりんご(?)「すくらっぷ・ブック』の初出荷。まずは味わってみてください。ボクが精魂こめて育てた“心のスクラップ・ブック”の味を……。』
晴ボンの誕生日に黙ってプレゼントを置いて帰った内気な女の子、日生香苗。彼女は坂口の遠い親戚で、香苗を妹のように思っていた。そのため、坂口は香苗の想いを誰にも伝えずにいようとするが、二人の話を耳にしたイチノがこれをマッキーに伝え、これを聞いたマッキーは正々堂々と自分と戦うように香苗を励ます。皆の輪に入った香苗は少しづつ明るい女の子へ変わってゆき……?! 出会い、恋愛、友情、ケンカ――共に悩み、信じ合い、そして行動する仲間たち。その友情の輪は広がってゆく。信州・小諸の芦ノ原中学校を舞台に「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー。 読み切り作品『春雨みらーじゅ』も収録した小山田いく青春3部作第1弾!! 小山田いく先生の当時の単行本コメント『ボクは伝説、昔話の類が大好きです。だれが語りはじめたのかは知らないが、とにかくいい話だ……と、長い年月をこえて伝えられてきた民話はいいものです。そしてボク自身、民話のように長く伝えられていく物語を作っていきたいと、いつも思っています。遠い未来、月面都市の片すみで、孫を抱いたおばあちゃんがこんな話をしていたら…いいな、と思いません? 「むかし、むかし、あの青い星に、晴っちゅう男の子が住んでどったげな………。」』
信州は長野県小諸市の芦ノ原中学校。2年7組の晴ボンは恋人のマッキーこと迎麻紀、同じクラスの市野清文、坂口光明、そして市野の恋人青木理美たちとにぎやかな学生生活を送っている。坂口の幼馴染で晴ボンに想いを寄せる内気な女の子、日生香苗は晴ボンの誕生日にプレゼントを送ったことがきっかけで皆の仲間に入る。次第に明るくなってゆく香苗だったが、ある日、クラスの肝試しで同じクラスの桜井光代がおどかされた拍子に「坂口クーン!」と叫ぶのを聞き、坂口が自分から離れて行ってしまうのではと怯えて再び自分の殻にこもってしまう。香苗のことを心から思い、あえて突き放す坂口。その時、理美が取った行動は…!? その他、山に惹かれる2年7組五島かがりの兄、猛と晴ボンの担任、正木の友情を描いた「妖精館(アルフヘイム)」。晴ボンとマッキーの夏休みの工作に秘められた優しさになごむ、「ならんでいます」。香苗をめぐる坂口とクラス1のイタズラ者、雅一郎の対立を描いた「あざやかな紅葉たち」など、「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティーの第3巻。読み切り作品『三角定規プラス1』も収録。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『この巻末に収められた「三角定規プラス1」が完成した直後、連載の依頼が来て、しばらく不安でたまらなかったことを、何となく思い出しました。なにせ、一本仕上げるのに、一か月かかっていたころのことでしたから………。なのに、そのボクがいまだに毎週休みなくかいていられるなんて……自分の力って、やってみるまでわからないものですね。そしてこれからも、臆せずに、自分の可能性を追っかけてみたいですね。』
信州は長野県小諸市の芦ノ原中学校。2年7組の晴ボンは恋人のマッキーこと迎麻紀、同じクラスの市野清文、坂口光明、そして市野の恋人、青木理美たちとにぎやかな学生生活を送っている。自分の初恋がからかわれていただけだと知り傷ついていた2年7組一番のイタズラ者、小宮山雅一郎は、香苗が優しく慰めてくれたことから香苗に恋をしてしまう。しかし、兄がわりを自負する坂口はそれを許さず、業を煮やした雅一郎は坂口に果たし状を突きつけ、正面からぶつかり合う坂口と雅一郎。力尽きて敗れる雅一郎だがそれでも香苗への想いを捨てられなかった。「それでもカナちゃんが好きなんだ」と叫ぶ彼に香苗の決意は? そして晴ボンへの想いを断ち切る為に彼女が取った行動は? その他、イチノと理美の付き合い1周年の微笑ましいエピソードを描いた「秋時雨」。晴ボンと香苗が美術部の部長、副部長を務める事に不安を覚えた雅一郎が美術部で大暴れの「晴のキャンバス」。美術部、前部長の香樫と転校生の少女との思い出を信州の冬の風景にからめて描く「フロストフラワー、ポエトリー」など、「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー。坂口と雅一郎の衝突、そして香苗の決意…青春が鮮やかに交差する。 小山田いく先生の当時の単行本コメント。『最近、昔の同級生が四人ほど、たて続けに結婚しました。おかげで独身組のあせりは、目をおおうばかり(?)。それにしても、毎日、晴ボンやイチノの幼い恋につきあっているボクには、別の世界の話のような気がします。「すくらっぷ…」メンバーと騒いでいるのが、何より楽しいんだから。いったいボクの精神年齢は何歳なのでしょう?』
雪娘・・・冬と共に北からやって来て、春になると、また北国へ帰ってゆく雪の精・・・。晴ボンたちは菅平高原へスキーにやって来た。滑れなかった晴ボンだったが、皆に教えて貰いながら何とか滑れる様になってきた。楽しくなってきた晴ボンは、夢中になって滑っているうちに皆とはぐれてしまう。不安げな晴ボンの前に現れた一人の娘。娘は晴ボンを山荘まで送り、姿を消したのだった。「雪娘だ・・・」娘を雪娘だと言う晴ボンを皆は笑うが・・・実は彼女は? その他、イチノを撮ったという写真のフイルムをめぐっての大騒動が起こる「フイルム奪取作戦」、雪娘と晴ボンたちが再開する「風花の円舞曲」など…「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー第5巻。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『なぜ『すくらっぷ…』のキャラクターは、まんまる顔が多いの?」という質問を、何通かいただきました。それは、え~~、ボクが身長165センチ、体重48キロ、ウエスト27インチという細身で小柄な体型をしているからです。だから何となく、ちょっと太めの女の子にひかれたりして…。それにしても、なぜボクは、何をやっても太れないのでしょう? だれか太り方を教えてください。』
常緑樹は若葉が揃うのをすべて見届けてからそっと散ってゆく。周りの緑が明るい中でのそれはひっそりと目立たず、秋の落ち葉より一層寂しく見える・・・。高専への進学を決心していたイチノ、だがそれは同時に街を出ること、理美と離れることを意味していた。イチノは理美に余計な心配を掛けないよう「進学」のことを黙っていたが、その話が噂として理美に伝わってしまう。動揺を隠せず、取り乱す理美。以前より理美からイチノの相談を受けていた坂口は彼女をなだめようとするが、そんな理美にすがり付かれ・・・ 同じ頃、イチノが無意識にノートに書いていたメモを周りに話したことがトラブルの原因と知った雅一郎は自力で解決に乗り出す。イチノと理美、二人の深くなった溝は埋まるのか? その他、「男まさりの栗きんとん」、かがりにも初恋の予感?の「かがりに吹いた春の風」、修学旅行先で出会った南国の少女との交流を描いた「クリスタル、グリーン」など「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー第6巻。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『「すくらっぷ・ブック」もこれで6巻目。そしてこの中の第51話で連載も一周年。ボクも晴れて漫画家二年生というかわですネ しかし、50編も話を作ったのに、本当にアッという間の一年でした。それだけ充実してたのかナ?…と少々自己満足…なんて、もっともっとがんばらなきゃいけないのにね。これからもよろしく…だいぶヒネた二年生だけど。』
信州は長野県小諸市の芦ノ原中学校。3年7組の晴ボンは恋人のマッキーこと迎麻紀、同じクラスの市野清文、坂口光明、そして市野の恋人青木理美たちとにぎやかな学生生活を送っている。そんなある日、イチノのサッカーのライバル、南中サッカー部「鉄壁のライトバック」アサこと宇木朝実…この「鉄壁のライトバック」が神妙な顔でイチノたちを訪ねてきた。その理由は九州から来た転校生、恵庭妙子のことだった。アサに頼まれイチノ、晴ボンにクラスメイトの雅一郎やノーミンこと稲玉和夫までアサについて南中に行くが、晴ボンたちはその転校生と話をしてびっくり! 彼女は修学旅行で晴ボンたちが交流し、ノーミンが針葉樹の種をプレゼントした相手、その人だったのだ! その時のお礼にとノーミンのほっぺにキスをする妙子。それはただの無邪気な感謝の気持ちだったのだが…ノーミンは舞い上がって妙子にラブレター攻勢をかけ始めたのであった。皆が一生懸命なだけ、皆が周りを思いやろうとしただけ、誰も悪くない、どこにも悪者はいない、そのはずなのに皆が傷ついてしまい…やりきれない思いを抱えた晴ボンたちが取った行動は…!? その他、民話によせて坂口や彼に想いを寄せるクラスメイト五島かがり、桜井光代の想いを描いた「乙女の紅つつじ」、など、「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー。すくらっぷ・ブック誕生秘話を描いた読み切りエッセイ漫画「どっぐいやあ」第1話も掲載。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『春休みや夏休みになると、旅行がてらボクを訪ねてきてくれるファンが増えて来ました。ボクが小諸市にいるという事だけを頼りに、あちこち訪ね歩いて、家を見つけるのだそうですが、たいていの人はまず、駅前交番で訪ねるようです。おまわりさん、いつもありがとう。』
信州は長野県小諸市の芦ノ原中学校。3年7組の晴ボンは恋人のマッキーこと迎麻紀、同じクラスの市野清文、坂口光明、そして市野の恋人青木理美たちとにぎやかな学生生活を送っている。夏も終わり、芦ノ原中学校は学園祭の時期を迎えていた。晴ボンたち3年7組が挑むのは映画製作。晴ボンの脚本を基に準備を進めてゆくクラスメイトたちだが何かが足りない…物語にリアリティーが感じられない…。何故?何がたりないのか?悩む晴ボンを見かねた3年7組の知恵袋「ばーちゃん」こと土屋悦子は晴ボンの脚本を持って担任の正木のもとへ相談に行くのであった。文化祭当日。映画の幕が開く。晴ボンたち3年7組は納得のいく映画を作ることが出来たのか?? その他、皆が夢を語り合う中でのマッキーの葛藤を描く「夢たち」など「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー。すくらっぷ・ブック誕生秘話を描いた読み切りエッセイ漫画「どっぐいやあ」第2話も収録。 小山田いく先生の当時の単行本コメント『このあいだ、久しぶりに家の近くでアゲハチョウの幼虫を見つけました。その時ふいに課『あ、飼ってチョウにしてやりたいな』と思ったんです。-中学生のころみたいに。まだ自分に、そんな気持ちの残っていたことが何だかうれしくなりました。仕事場で飼えない幼虫は、今も近くの草むらにいます。サナギになって冬を越し、来年の春、飛び立つ予定です。』
秋を迎え、受験勉強も本番を迎えつつある晴ボンたち3年7組。そんな中、芦原中に一つの騒動が持ち上がる。校内の北側倉庫に幽霊が出るというのだ。元新聞部の八重沢奈美子はこの情報は間違いないと言い、自分一人で現場に張り込もうとする。危ないからと雅一郎やマッキーたちと共に一緒に現場に張り込む事を申し出るイチノや晴ボンたち7組メンバー。さて張り込み当日、おとりとなって倉庫前を歩くマッキー前にうめき声と共に怪しい影が現れるがそこには人為的な何かが…。晴ボンたちはその影を追い詰めて行くが、やがてこの騒動の裏には思いがけない思惑があった事が判明して…!? その他、皆でのキノコ狩り、妙子の争奪戦を繰り広げながらも互いにフェアであろうとするアサとノーミンを描いた「ふたつ」。皆の受験を控え生徒たちの事を思いながらも厳しくすることで生徒たちの敵になってしまうのではないかと葛藤する正木先生の「風に落葉松」など、「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティー。「すくらっぷ・ブック」が生まれるまでの小山田先生本人のエッセイコミック「どっぐいやあ」第3話も掲載! 小山田いく先生の当時の単行本コメント 『最近ろくな夢を見ません。でき上がった本を見るとなぜか「すくらっぷ・ブック」だけまっ白だったり、下絵のままだったり…。だから精神衛生上、眠る前にはできるだけ楽しい、民話なんかを読む事にしているんですが、そうすると今度は、徹夜してかいた原稿が、朝になると木の葉に変わってしまう夢を見たりして…』
クリスマスイブを迎える日、その日はイチノの長野高専願書提出の日でもあった。出発しようとするイチノに声をかける担任の正木。正木はイチノにもう一人志望者がいる事を伝える。一方、妖精館(アルフヘイム)では晴ボンたちがクリスマスパーティーの準備を進めている中、理美はぼんやりと空を眺めていた。自分たちが受験生であるというのが、そしてイチノが長野高専へ行くというのが夢であってくれればと願う理美… だが、かがりは同じ立場にいながらもじっと現実を受け入れていた。やがて長野から帰って来たイチノたち。理美の想いを伝える春ボンやマッキーにイチノは一つの決心を告げる…。その他、笠地蔵の民話を聞いて近所の六地蔵にささやかなお供え物を置いてゆく7組の仲間たちを描いた「笠地蔵」。生物部の修一と美幸がペットのニョコとの別れを決意する「卒業は眠りの中で」。いよいよ受験本番! 「MAXIMUM」など「小山田いく」が温かなハートで描く青春グラフティーの決定版! 「すくらっぷ・ブック」が生まれるまでの小山田先生本人のエッセイコミック「どっぐいやあ」第4話も掲載! 当時の小山田いく先生の単行本コメント 『部屋の整理をしたら、出ました出ました、アマチュア時代の作品がいっぱい。10歳のころ、はじめて自分で話をつくって漫画をかきはじめてから、デビューするまでの13年分。物語の数は「すくらっぷ・ブック」10巻現在の93話に匹敵するくらい。もちろん人前に出せるシロモノではありませんが、当時のボクの写真以上に大事な記録として保存しておくつもりです。』
信州は長野県小諸市の芦ノ原中学校。3年7組の晴ボンは恋人のマッキーこと迎麻紀、同じクラスの市野清文、坂口光明、そして市野の恋人青木理美たちとにぎやかな学生生活を送っている。そんな晴ボンたちにも、いよいよ受験、そして卒業の季節がやって来た。受験を終え、卒業を迎えた晴ボンたち。それは皆との別離とそれぞれの新たな決意を意味していた。坂口への想いを胸にしまい込んだ光代、イチノと離れる寂しさに葛藤する理美、晴ボンから離れ、一人で虹の橋を登っていこうと決意する香苗。晴ボンに寄り添うだけでなく自身の道も探し始めるマッキー、そして新天地に赴く担任の正木…。卒業式を終えたある日、喫茶「妖精館(アルフヘイム)」に集まった7組の面々と正木は小諸市内の懐古園へ出向き最後のひと騒ぎを行った。そして…日も暮れるころ、正木は皆を集め最後のホームルームを行って…! 小山田いく青春3部作第1弾の感動のフィナーレ!! 2009年「週刊少年チャンピオン創刊40周年記念名作読切シリーズのために書き下ろした「すくらっぷ・ブック特別編 夢のありか」も特別収録! 小山田先生の当時の単行本コメント 『「ありがとう」と言うのが、ボクは得意です。どんないやな過去でも、それがあったからこそ、今の自分の幸せがあるんです。だから、今まで出会った人や物みんなに、ありがとうと言い続けたいんです。過去をすべて、未来へ生かすために。ありがとう、みんな。「すくらっぷ…」を応援してくれたみんなの心が、これからのボクの力になっていくんです。だから、いつまでも、ありがとう。』
「天才の若書き」なる辞があるが、本書を手に取ってみると『巨人』(マーラーの第一交響曲)位しかその右に出られるモノはない気がしてやまない。後作『ぶるうピーター』と違って、それこそ生一本で一貫しているのが、こちらの強味なのだ。しかも全体の味は童話風とは!日本文学史の一等星扱いを受けてもおかしくないと思えてならない人間は、私一人なのか!?