あらすじ
「ねぇママ、俺も半分お父さんでできてる?半分は誰のコドモ??」妻と妻で、母とママ母。女手二つの婦妻(ふさい)に、息子は問いかける。昨今の大ブームに輝く≪LGBT≫ではない、流行らなくても輝かなくても東京の街に埋もれながらずっと存在していた二人のレズビアン女性と、息子たち、それを取り巻く人々の同性愛・異性愛・同性婚・異性婚・非婚・未婚・結婚・死別・仕事・家事・育児・不妊・妊娠、性教育・選択・カミングアウトと日常。「愛って、なんですか?」をみんなで探す、≪ふつうの人たち≫のエッセイ。
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読み始め、作者の中村キヨさんが前の奥さんを病気で亡くして別の女性と再婚するところから始まるんですが、別れの部分があまりに衝撃的だったので「その話を描いたエッセイがあるのでは」と思って探したんですけど、多分ないみたいです。そして、作中でも亡くなった方とどのような暮らしをしていたかはほぼ語られません。 メインは酔っ払って道端で座り込んでいたところを中村さんが介抱してあげたことがきっかけで知り合い、結婚(もちろん事実婚)したサツキさんとの生活が描かれますが、その中身は私が想像できるレズビアン同士のやり取りからは想像を遥かに超えるものがありました。 ただそれは、この人達がこうなだけであって、レズビアンとはLGBTとはこういうものという話ではなく、言うなればその辺で生きてるとあるカップルの日常を描いたに過ぎない。 サツキさんには息子が3人いるのですが、当然中村さんとは血の繋がりはありませんので、父と母が1人ずつではない家庭を彼らなりに受け入れなければならない。そこで親が先駆けて周りにカミングアウトするのもありではという中村さんに対し、サツキさんが「子は親を選べない以上、選べることは全て選ばせたい」「遠くの1億人が理解してくれたって、身近な10人が無理解だったら地獄でしょ」と伝えます。ほんとその通りですね。 「愛とはなんなのか」というのも常に問い続けているのも印象に残ります。もちろん答えは見つかりませんが、読者として感じたのは、愛する人が幸せであるように願うこと、かもなと思いました。