あらすじ連作短編シリーズ『妖女伝説』の中で、10年にわたり書き継がれた雄編「砂漠の女王」を収録。アフリカ北部から中東に広がる砂漠の中で、太古より多くの血が流れ、そして多くの宗教が胚胎した。この血で転生を重ねながら、男たちの運命を操りその血を欲する女の物語。雑誌掲載時の2色カラーに今回著者が加筆し、フルカラー化して収録した最新版で登場!
星野之宣の短篇連作といえば、『2001夜物語』がまず思い浮かびます。ハードSFマインドをリーダブルで感動的な物語に詰め込んでいて、本当に素晴らしい大名作です。(SFっぽいセンスで描かれた漫画は多いのですが、星野之宣は折り目正しい「ハードSF」なんですよね、それがすごい) でも、個人的に思い入れが強いのは、ヤングジャンプに連載されていた『妖女伝説』! SFはもちろん史劇や伝奇など手を変え品を変えた多様なテーマを、実に平明で丁寧なドラマに織り込んで、しかもそれを、あの無類に「端正」な絵柄で見せてくれる。 良質、ハイ・クオリティー、佳品…そういう表現が本当にぴったり。 短篇漫画を読む悦びを、これだけビンビンに感じさせてくれる作品集はないです。 自分は十代の中頃に、この作品を何度も読み返すことで、「物語感覚」のようなものを学ばせていただきました。 その「感覚」は一生の宝物だと思っています。