暗く醜い感情を抱える人間が堕ちるのを深淵で待ち構える小説家。そこで見える卑しき人間の“真理”とは――『悪童文庫』
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『悪童文庫』(田中基/集英社) 何人たりとも誰しもが肚の内に抱える深い闇。その行き着く先は…… 多くの人間の肚の内には、暗い淀みがある。 それは嫉妬であり、憎悪であり、欲望である。人々はそれをそっと飲み込み、隠し、見ないようにして日々を送っ
古書、骨董、印刷業が密集し、現代を拒むように存在する街、塵保町──。ある猟奇小説を執筆したきりその界隈から姿をくらまし、この街の古書店「悪童文庫」に座る小説家、鳥羽山真理。そんな彼の下に、新米編集者・秋里こだまが訪れ、物語は動き出す。欲望、愛憎、嫉妬…内面に蠢く様々な感情が暴かれ、堕ちてこそ初めて見える人間の“真理”に迫る物語──。