あらすじ

「マーラの巻物」に導かれ、ドラキュラ城へ潜入したコブラ一行。そこへ、メガ・カーン率いるブラックダーツが城を襲来。パルチザンとギルドの戦いに巻き込まれていく。ドラキュラ・世が、強い魔力から城を守っていた封印を解いたため、マリオのあやつり人形であるザナドゥにも少しずつ変化が。魔法の源泉を破壊すべく「マーラの巻物」を奪ったメガ・カーンを、コブラたちが追う。
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コブラ・ザ・サイコガン(前編)

コブラが帰ってきた。そしてギルドは彼の首に欠けた賞金を300万ドルにまで吊り上げた。賞金稼ぎたちがこぞってコブラを狙うようになるだろう。そんな中、コブラはミス・マドウの情報により、ニューヨーク美術館に収蔵されている『ナイルの涙』に狙いを定めた。だが閉館後の美術館に潜入したコブラは、宝石に手を付ける前に鳴り響いた警報を聞き、慌てて逃げ出すことになる。ギルドの一員と見られるジプシードッグの武装集団が美術館に乗り込んできたのである。またジプシー・ドッグに狙われた生物学者のユートピア・モアは、コブラに助けられそのまま逃げ出すことになるが。

コブラ・ザ・サイコガン(後編)

ユートピアの持つ化石虫の研究データを、ギルドたちは執拗に追いかけてくる。そしてジプシー・ドッグだけでなく、あのクリスタル・ボーイが姿を現した。コブラたちはボールド伯爵の追っ手から森に逃げ込み、そこでジプシードッグのアジトを見つけ潜入を試みるが、正体を見破られ、囚われの身になってしまった。ギルドが狙う、化石虫に秘められた古代火星人の秘密とは一体どんなものなのか?

マンドラドの伝説

ボニーの勤めるバーに来たコブラを、一人の女が待っていた。彼女はエリザベス・タッカー。シークレットを人質にコブラに仕事を依頼してきた。ナスカ星に生えるマンドラドと呼ばれる植物の種を採取してこいという。「マンドラド」とは一体?

ギャラクシー・ナイツ

戦士たちの元に、謎の人物から依頼状が届いた。目的はシバ城の奪還。20年前にカオス軍に陥落されたシバ一族の幻の城である。集められた戦士たち12名には、シバ城に仕えたスペードナイツに準え、トランプのカードが同封されていた。だが待ち伏せに合い、半数がカオス兵の攻撃に倒れ、残ったのは二つの頭脳をもつロボット「セブン」と「エイト」、最強の盾を持つ「ジャック」、殺し屋の美女「クイーン」、そして「エース」のコブラ。彼らはシバ城潜入の鍵を握る囚われの「キング」を奪い返すべく、港町ギザラへ向かった。

雷電の惑星

ミロ星の夜は、雷鳴がやまない。地表にある金属すべてに落雷して、とても外は歩けない。その星に建つルーン美術館に収蔵された竜水晶を奪うべく、コブラと知己の異星人ベガは美術品の鑑定家として潜入した。

タイム・ドライブ

レディの存在がうつろになっている。このままでは彼女は消滅してしまうだろう。その原因を探るべく、レディの過去の時間に「時間潜水(タイムダイブ)」したコブラは、レディがまだ人間の肉体を持っていた「過去」に辿り着いた。コブラが足を降ろしたサンボーン公国は、元占い師のギロスやその配下魔二童によって王座を奪われ、小国の領主たちは怯えた日々を送っている。ギロスを帝位から引きずり降ろそうとする公女エメラルダ、そして若き海賊コブラの出会いの瞬間が近付いていた。

戦場にて

戦争の最中にあるキラ星では、侵攻したドメル兵に圧され、外人部隊がほぼ半壊していた。国宝のルビーを盗み出したコブラは、生き残りの兵士に嚇され、ルビーを分けることを条件に共に空港まで向かうことになったが…。

ブルー・ローズ

パトロール勤務に就いていたシークレットは、宇宙船同士の銃撃戦に遭遇する。そして偶然手に取った『メギドの本』を開き、彼女はそのまま本の中に吸い込まれてしまった。そしてコブラは、情報屋ジャック・バイスタから、宇宙の秘宝「ブルーローズ」に辿り着くための方法が記された『メギドの本』を手に入れたと、連絡を受けた。そのまま消息を絶ったジャックを追って、コブラは地球・香港へと向かった。

ソード人の秘密

古代火星人の作り出した最終兵器を求めて、ドミニク、レディと共に惑星ザドスに降り立ったコブラは銃で撃たれても、首を落とされても立ち上がる、不死身の一族に襲撃された。「刺青の女」の1エピソードとして挿入されている。

黄金の扉

クリスマスイヴ。ひとり車を走らせるコブラに、戦闘機に追われた小型トラックが突っ込んで来た。中から転がり出た女はシークレット。亡きドミニクに瓜二つだった。シークレットの持つ「シバの鍵」をガロン星に送り届けるべく、コブラは護衛をつとめるととになったが…。

マジックドール (前編)

マハドーマ星には魔力が満ちている。魔力は生物でない「物」にも命を吹き込み、疑似生物化させる。その星の奴隷島に、囚われた奴隷に紛れてコブラが現れた。魔法の源泉を示すという「マーラの巻物」の探索を、シークレットに依頼されたのだ。奴隷島はギルドに属する商人マシャドが支配していたが、その宝物殿には「マーラの巻物」が隠されているという。巻物を盗み出し、魔法の源泉を求めて旅立つコブラの元に、牢番ジータ、人形使いのマリオと彼が操る人形ザナドゥ、魔法少女ラナが集った。

マジックドール (後編)

「マーラの巻物」に導かれ、ドラキュラ城へ潜入したコブラ一行。そこへ、メガ・カーン率いるブラックダーツが城を襲来。パルチザンとギルドの戦いに巻き込まれていく。ドラキュラ・世が、強い魔力から城を守っていた封印を解いたため、マリオのあやつり人形であるザナドゥにも少しずつ変化が。魔法の源泉を破壊すべく「マーラの巻物」を奪ったメガ・カーンを、コブラたちが追う。

黒竜王,『カゲロウ山』登り

星種子(スターシード)が帯を作るサルファ・トライアングル宙域に、客船クイーン・ラブ号が停泊していた。だが宇宙遊泳を楽しむ少女たちを、ゲイターと呼ばれる生物が襲い、また船そのものが巨大な生物に飲み込まれた。生物の腹の中で出会ったロムールは、この生物がジゴルと呼ばれ、ここから脱出することは不可能であると告げる。そして飲み込まれた者たちはここで何世代も生活を続け、黒竜王がその都市と生活者を支配しているというが…。(「黒竜王」)金塊を積んだ旅客機がある山の頂に墜落した。山の名は「カゲロウ山」。見る者がそこにあると信じれば山はあるが、信じ切れないものには見ることすらできない。それぞれの目的を胸に、お尋ね者レオ、爆弾魔マウス姉弟、マフィアのリンダと護衛フランク、神父セバスチャン、漁師ジェロニモとコブラの8名がカゲロウ山に向かう。(「『カゲロウ山』登り」)

ラグボール

久々にドミニクに遭遇したコブラは、彼女、つまり銀河パトロールから仕事を依頼された。報酬は犯罪履歴の抹消と二百万ドル。ラル星にあるランド競技場に「ラグ・ボール」の選手として潜入し、ギルドの麻薬ルートの一部である証拠を掴め、と言う。ラグボールは死傷者が続出する、危険なスポーツである。そして、競技場は銀河パトロールの治外法権、チームに入団すれば1年間は逃げ出すこともできない。ランド競技場をホームグラウンドにする「レッド・サクソンズ」に入団したコブラを、荒くれの選手たちが待ち受ける。

神の瞳

コブラの元に招待状が届いた。差出人はマダム・ドローレ、金星の王家の血を引く彼女からの招待状には二百万ドルが同封されていた。だが、同時にコブラはマードックらから命を狙われる。そして刺客を退けようと戦うコブラのサイコガンに、ヒビが走った。サイコガンといえど物は物。修復できるのはサイコガンを設計した不知火鉄心ただ一人。コブラは一路地球に向かう。

COBRA THE SPACE PIRATE

夢と呼ぶにはあまりに厳しく余りに哀しい影に向かってのオデッセイ

COBRA THE SPACE PIRATE 寺沢武一
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)
阿房門 王仁太郎(アボカド ワニタロウ)

著者のライフワークなので一言で括れない幅がある作品で、私は 1.手塚治虫的なタッチが残り奇想展開なアイディアの楽しい「少年ジャンプ初期」(「コブラ復活」~「ラグボール」) 2.線がややソリッドになりシニカルな描写の増えた「少年ジャンプ中期」(「二人の軍曹」~「黄金の扉」) 3.ヒロイックな描写の光る「少年ジャンプ後期」(「神の瞳」~「リターンコブラ」) 4.「聖なる騎士伝説」 5.CGフルカラー期 で分けている。どの期間も見るべき所のある漫画であるが、4.の「聖なる騎士伝説」について書きたい。  「聖なる騎士伝説」は青年誌に掲載された長編で他の話より暗く、いつもよりシリアスでアダルトな展開や描写が多い異色のエピソード(何てったって、レディーさえ出てこない) だ。ここでは新世界の興奮は悪鬼に蹂躙され、コブラのいつもの剽軽な態度やヒロイックな勇気は鳴りを潜め、笑みは嘗て見られなかった暗い影を忍ばせている。絵の線もどの辺よりも細く、陰影もまた濃く、混沌とした悪意蔓延る世界をこれでもかと描き出す。筋も宝や冒険ではなく悪鬼の暗殺と言う剣呑な代物で、終盤に明かされる種も周到に張られた伏線もあり陰惨な世界観を補強する。  今までのスペースオペラと比べると余りにもノワールであり、退廃的でもあるが、それだけに強烈であり、私はこのエピソードが一番好きだ。けだし、このノワールが単なる露悪に終わらず、コブラが常に世を儚むようなニヒルな皮肉を呟きながら銃をぶっ放しながらもどこか善や正義を諦めきれていないからではないかと思う。有名なコマでもある様にコブラは終盤、実際には何の利益を齎さなかった教会を批判し「神か……最初に罪を考え出したつまらん男さ」と呟いてみせたが、これはやはり神や正義についてどこか夢を持っている証拠に他ならないと思う。さもなくばこんなセリフは決して言わないだろう。  コブラの海賊としてのアウトローな性格や享楽主義は上記の理想主義的な思想やストイックさに支えられている。寺沢武一は彼の初期作品を「思弁的」と批評していた記憶があるが、そういった性格が彼の作品から消えた事は一度も無かったことは確かだろう、そしてそれこそがこの漫画をいつまでも輝かせているのだろう。海賊と言う自由とギルドに対抗する高潔な戦士の顔を持つあの男のとこしえの旅に祝福を。