東雲は「罠」の黒幕にたどり着いたものの、香織は小野を選んだと疑わない。一方の香織は、東雲と冬木の妻・沙織との関係がすでに切れていることを知り、東雲への想いを再認識するが、東雲の気持ちが分からないまま。すれ違う二人だが、後輩の礼子の計らいで、最初に香織と東雲が共に仕事をした青木邸の完成視察に二人きりで向かうことになる。そこで交わす会話はお互いを思いやるあたたかいものだった。しかし、気持ちが通じ合うことはなく…。後日、東雲と冬木はお互いの誤解を解き、謝罪しあう。さらに東雲はある決意を持って「部長のお力を貸して頂きたいことがひとつだけあります」と言い出して――!? 想いあっているのに、交わらない二人のもどかしい恋愛模様の行方は?
東雲と香織はお互いを強く想っていた。しかし東雲は小野と香織が交際をしていると信じて疑わず、身を引いて香港へと戻ってしまう。宙ぶらりんになってしまった香織の想い。それでも小野とともに日常の業務をこなしていた。そしてついに訪れた社内デザインコンペの授賞式。冬木部長に連れられて授賞式の会場へと向かった香織は、東雲と小野、それぞれが出品したインテリアを見て二人の真の想いを知ることになる。二人ともナンバーワンの座を得るために不可欠であるメインテーマを出品せず、想いを乗せたたった一品だけを出品していたのだった。授賞式のあと、小野は香織にこれまでの罠や駆け引きについての全てを告白する。嘘と罠と偽りのラブゲーム、その真相がついに明らかに! そしてそれを知った香織が選ぶ道とは…!?
小野や礼子に背中を押され、会社を飛び出し東雲がいる香港へと向かう香織。そんな香織を東雲は空港で待ち受け、抱きしめる―――。想いは通じ合い、再びひとつになる香織と東雲。つかの間の2人の時間は甘く、激しく、あたたかいものだった。しかし、2人はそれぞれの場所でそれぞれの仕事に力を注ぐことを選び、33歳同士の遠距離恋愛がスタートする。後ろ髪を引かれる想いで帰国した香織を待ち受けていたのは、「女性プランナー指名」の新しい案件だった。千夏をアシスタントとして伴って打ち合わせに出向いた香織の目の前に現れたのは、思いも寄らない人物で…!? 東雲と結ばれ、心の凪を得た香織の心中を再び波立たせる事態が起きる……!
朝日奈の正体は、離れ離れで育った東雲の双子の弟だった。香織を強引に部屋に誘い込み、東雲に揺さぶりをかける朝日奈の「前島さんなら訳あって今着替えているよ」という言葉に、香織を信じられなくなってしまう東雲。香織の事は間違いなく愛している、けれど素直に香織の愛の言葉を受け取れないのには、東雲の心の底にあった悲しい過去が関係していた。一方、何があっても一途に東雲を思う香織にとって遠距離恋愛は多くの不安要素を拭い去れずにいる原因になっていた。そんな時、東雲が香港支社の女性デザイナー・美杏を伴って来日してきたのに鉢合わせしてしまった香織。その来日は、香織には告げられていなかった。香織に対して敵意をむき出しにする美杏。思わずこのあと朝日奈さんと打ち合わせだと言い残し、その場を立ち去ってしまう香織だったが…。
東雲が愛に飢え、愛を求め続ける理由―― それは彼の生い立ちや家族に理由があった。愛しても愛されない、そんな気持ちで生きてきた東雲。そしてそんな彼の過去を知り、東雲の実の弟である朝日奈との仲を取り持とうとする香織。朝日奈が現れたことで東雲をこれまで以上に理解し、愛を深めていく香織だったが、東雲に想いを寄せている香港のデザイナー美杏の存在や、遠距離恋愛そのものへの不安は拭い去れない。大人だから、遠距離だからこそ言えない本音。そんなときに知らされた後輩・礼子の決断と、7年間愛した冬木の栄転。自分を支えてくれた人たちが動き始めたことを感じながら、香織は東雲と一緒にいるには自分が仕事を辞めるしかないのか、悩む日々を過ごしていた…。
結婚退職という道を選んだ礼子、香港支社長として栄転した冬木… 少しずつ変化していく香織の周囲。そんな中、乗り越えたかのように思えた東雲との遠距離恋愛への不安が香織の中でくすぶっていた。お互いを思い遣って選んだ結果の遠距離恋愛。大人だからこそ、お互いを思い遣るからこそ、本音が言えない。本音が言えないから不安になる。行きつ戻りつ揺れ動く香織の心。ある事件をきっかけに香織は思わず東雲に感情をぶつけてしまい、喧嘩のようなかたちになってしまう。それを聞いた東雲の双子の弟・朝日奈は「僕は遠距離恋愛なんて無理」「そばにいればこうして情欲を満たすことができる」といいながら、落ち込む香織を車のシートに押し倒し…!?
もう誰も傷つけたくない。だから仕事を辞めて香港へ行く――そう決意した香織に上司の小野は「辞めさせない。香港にも行かせない」と言い放つ。香織と東雲の関係性を誰よりも知り、背中を押してくれていたにも関わらず。一方で東雲の双子の弟・朝日奈には今すぐにでも東雲の元へ行けと言われて揺らぐ香織。なにより東雲本人が香港に来て欲しいとは一言も口に出さないことが香織を不安にさせていた。業務に追われる東雲がGWに帰国できないことになり、香織は一人実家へと向かう。出迎えてくれる家族のあたたかさに触れ、また人生の先輩でもある義姉の言葉に香織の心は少しずつ晴れていく。その頃、香港出張中の小野は冬木と東雲を前に衝撃的な言葉を口にしていた…。