求めること、与えること、奪うこと。それが愛すること――。あたしの3つ上のお姉ちゃんは生まれつき心臓が弱くて、あんまり長くは生きられないって言われてきた。何度も手術して入院して中学も途中までしか行けなくて、もうずっと2週間に1度の通院以外表に出ていない。遠足も運動会も部活も合コンも楽しいことなんにもできなくて、だけどお姉ちゃんは、いつもニコニコ優しいの。見習わなきゃって思うんだ。つまらないワガママ言わないとこ。いつもニコニコしていようって。だけど、お姉ちゃんには煩悩なんてないのかなあ。そんなお姉ちゃんが「今年のクリスマスはどうしても欲しいものがある」と言い出した。あたしが付き合ってる直也を見る目がいつもと違ってる!?
高校の時の2つ上の月島先輩は全国模試トップ、生徒会長やりながらバイク乗り回して運動部を掛け持ちしてた。その上すっごいイケメン。あたしは同じ時期に同じ高校に通えただけで満足だった。ううん、本当は1度だけ告白しようと思ったことがある。お母さんがいなくて、お父さんを亡くした時、あたしは月島先輩の力になりたいと思った。けれで月島先輩を抱きしめて慰めていたのは、先輩が美里と呼ぶ同級生の女の子だった。その声が今でも頭に残ってる。あれから4年。大学生になったあたしは、夜の街を歩いている時酔っ払いに絡まれた。その時助けてくれたのが、なんと月島先輩だった。大喜びしたけど、先輩は脳出血のせいで2年前から何も記憶できない状態だった!?
男に騙され、なけなしの貯金を奪われた私は、ビルの屋上から飛び降りようとしていた。その瞬間「困るよ、その真下に俺の愛車が停まってんだ」と声をかけてきた男がいた。飛び降り自殺がどんなに悲惨かを滔々と語る男のせいで私は死に損ねた。鈴鹿と名乗るその男は、何故か私の身上を全て知っていた。ある人物に頼まれて私のことをずっと見守っていたのだという。私は私を騙した男、高橋に何故かもう1度会いたかった。そこで鈴鹿に高橋探しを手伝ってくれと頼んだ。高橋は、施設にいた私が唯一家族と呼べる存在だった、優ちゃんに似ていたのだ。優ちゃんは亡くなってもう14年も経つ。鈴鹿は私が高橋を優ちゃんの代わりにしていただろ? というが…!?
元アイドルのまりあは、宝物の一人息子を育てるために3カ月前からテレビのレポーターになった。あがり性のまりあは未だにミスが絶えない。でも家に帰ると両親のいない私の親代わりの元マネージャーと、1人息子の優希がいる。あたしが芸能界に入ったのは14の時。両親が早くに死んだあたしは、ずっと親戚の家にやっかいになていて街でスカウトされた時は、これで1人立ちできるってほっとして、向き不向き考えずに飛び込んでしまった。でもぱっとしないまま1年が過ぎて、そんな時初めてあの人にあった。芸能界の大物、権藤虎之介。優しくて大きくて、あったかい。あたしの理想の父親そのものだった。あたしは彼を好きなり、1度だけ関係を持ち捨てられた。そして妊娠し!?