あらすじ

自然の要塞であったはずの小ソロン島。だが、暗殺騎士の魔術によりソロンの領主は斃れた。浮かび上がる“走狗”候補の8人の容疑者。魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は真相に辿り着くことができるのか?
折れた竜骨(1)

ロンドンから北海を東に三日も進んだあたりに浮かぶ、大小ふたつの島からなる――ソロン諸島。平和な時が流れるこの島で、ある年老いた衛兵が謎の死を遂げたことから、大きな転機が訪れる……。

折れた竜骨(2)

自然の要塞であったはずの小ソロン島。だが、暗殺騎士の魔術によりソロンの領主は斃れた。浮かび上がる“走狗”候補の8人の容疑者。魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は真相に辿り着くことができるのか?

折れた竜骨(3)

「僕がアミーナ様のことでわかるのは、仇を討つために戦いたいならそうするべきだ、ということだけです。そのためなら、僕はアミーナ様のために戦います。僕と父の剣に賭けて誓います」第64回日本推理作家協会賞受賞作『折れた竜骨』。魔法が存在する世界で展開される本格ミステリーのコミカライズ第3巻!難攻不落の小ソロンの秘密を看破したファルク。天然の密室と思われていた小ソロンの秘密とは? 積み上げられた事実は誰を<走狗>と指し示すのか!?

折れた竜骨(4)

容疑者は8人――領主を殺害した走狗は誰なのか。真犯人を探すさなか、警鐘が鳴り響く! 伝説の存在であった「呪われたデーン人」がソロンへと押し寄せたのだった。

折れた竜骨(5)

第64回日本推理作家協会賞受賞作 コミカライズ第5巻! 「走狗」ははたして誰なのか。そして「推理」の結末は――

折れた竜骨

魔法×ミステリーの異色作

折れた竜骨 米澤穂信 佐藤夕子
mampuku
mampuku

 12世紀のイングランドを舞台にした「魔法や呪いの存在する世界でのミステリ」という大変意欲的な作品です。作者は「古典部シリーズ」「満願」「王とサーカス」の人気ミステリー作家・米澤穂信。  超常的な力の働く世界で推理によって論理的に犯人を導くことはできるものかと初めは疑いましたが、ふたを開けてみればその美しい論理展開、美しくも切ないラスト、そしてなにより美しい文章にただただ感動させられていました。推理をする上で足場となるべき我々のよく知る物理法則が働くこの世界とは異なる、魔術が発動し、作用する、ローファンタジー世界のルール。このルールを読者に信じ込ませる圧倒的説得力は見事でした。  原作小説の話はこれくらいにして肝心の漫画ですが、背景や服装の細部にいたるまでかなり凝っていて、一つの漫画作品としては満足度の高いクオリティに見えます。ただ、少女漫画風の美麗で(上手い形容詞がみつかりませんが)クリアーな絵が、小説を読んで想像していた不衛生で武骨な中世世界とは少しイメージとは違っていました。例えばヴィンランド・サガやベルセルクのような……まぁでもこの絵はこの絵で素晴らしいので言うだけ野暮ってもんですかね。