毒ガス「MW(ムウ)」を巡る、人間同士の醜い争い、陰謀。そしてやりきれない結末……。「MW」にほんろうされた結城(ゆうき)と賀来(がらい)の運命は果たして!? 手塚治虫がいままでのカラーを打ち破り、「ありとあらゆる悪」を描こうと挑戦をした異色作の完結編。ほかに『火の山』『ペーター・キュルテンの記録』『もの憂げな夜』『ラインの館にて』などの短編も併録。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>『MW』(手塚治虫漫画全集MT303『MW』第3巻収録)/『火の山』(手塚治虫漫画全集MT265『火の山』収録)/『ペーター・キュルテンの記録』(手塚治虫漫画全集MT265『火の山』収録)/『もの憂げな夜』(手塚治虫漫画全集MT265『火の山』収録)/『ラインの館にて』(手塚治虫漫画全集MT265『火の山』収録) <初出掲載>『MW』1976年9月10日号~1978年1月25日号 ビッグコミック連載/『火の山』1979年4月20日発行 ビッグゴールド 2号掲載/『ペーター・キュルテンの記録』1973年1月10日増刊号 漫画サンデー掲載/『もの憂げな夜』1973年5月13日号~5月20日号 サンデー毎日連載/『ラインの館にて』1972年5月20日号~5月27日号 女性自身連載
最高に面白かったです。単行本で2〜3巻分の中編ですが、かなり中身が濃く、あっという間に読んでしまいました。 ラスト付近の「ニヤリ」も物語に深みを与えています!! 火の鳥ではまって以来、手塚先生の作品はほぼ全部読んでいるヅカラーですが、その中でもトップクラスのお気に入りです! 最近映画化されたようなのですが、諸々の表現はソフトになっているようですね。1976年からビックコミックで連載された作品なのですが、青年誌ということもあり、マンガの方はかなり内容も大人向けです。 手塚治虫先生は一貫して子供をすごく大切にしておられたようですが、世の中に青年誌というものが登場して大人もマンガを読むということが一般化しつつある流れの中で、1968年に創刊されたビッグコミックで連載された手塚先生の作品は、MWをはじめ、きりひと讃歌、奇子、ばるぼら、シュマリ、陽だまりの樹など粒ぞろいの傑作揃いで、子供向け作品だけでなく、大人向けでもなんでも、どんな作品でもすごく面白いものを生み出せる豊かな想像力は、まさしく創造神と言って良いと思います。