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ハートウォーミングな青春譜から痛切な復讐譚、そして圧巻の発想力で描き出すSFまで、社会からはぐれた者たちの孤独とイノセンスを描写しつづける鬼才が鋭角に“分解”する、鈍色(にびいろ)のプリズム、五色の物語集。「紛れもなく本年(2019年)屈指の傑作」(中条省平のマンガ時評 朝日新聞)など圧倒的賞賛を受けた『銃座のウルナ』(第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞)の伊図透が、奇妙な年となった2021年に、月刊コミックビームで発表した短篇連載「伊図透のスペクトル」、ボリューム感たっぷりに切望の単行本化。長篇『エイス』の外伝や「靴ひもを結べ!」シリーズ最新作を含む、苦い抒情と甘い痛みに満ちた、真に独創的な、全5話。
『銃座のウルナ』『エイス』『おんさのひびき』などの伊図透の作品集。 短編ながらどれもずっしりとした読み応えがあってとてもいい。全面に押し出しているわけではないんだけど、抑圧や不条理に押さえつけられている人間の姿が自然と描かれていて、じっくり読ませる力がある。 特に表題作にもなっている『辺境で』は重たい話が続いた最後に諦めに似た救いが用意されていてとても素晴らしいと思った。