あらすじ

桂一と晃が富山で迎える初めての夏。不意に落とされたハンナから桂一へのキスが、晃たちの関係にゆらゆらと波紋を広げていく――。波瀾の第6巻。
さらば、佳き日1
ある地方都市に“新婚夫婦”として引っ越してきた、桂一と晃。新しい生活を始めたふたりは、睦まじく穏やかな日常を送っていた。しかしふたりの陰には、大きな「秘密」があって――。とある“夫婦”と、ふたりをとりまくオムニバス・ストーリー。
さらば、佳き日2
ある地方都市に“新婚夫婦”として引っ越してきた、広瀬桂一と広瀬晃。ごく平凡な睦まじい夫婦のふたりは、彼らが生まれた街では「兄」と「妹」だった――。そんな“夫婦”の「これまで」を描いた、オムニバスストーリー第2巻。
さらば、佳き日3
いつもそこにいた君が、今はもういない。大学進学を機に晃が家を出てしまったことで、日々の中に埋めきれない虚ろさを感じていた桂一。そんな中、仕事で家を空けていた母が帰国し、母の言葉に桂一は晃が家を出ていった意味を考える。堪えようのない想いに、桂一が出した答えは――。
さらば、佳き日4
季節はどんどん進む日なたに私だけ残して兄妹ながら夫婦を偽って生活する桂一と晃。二人が『夫婦』になった経緯に迫る第4巻。
さらば、佳き日5
北陸の地で「夫婦」としての暮らしを積み重ねる桂一と晃。 それでも兄妹としてのしがらみは、静かに二人に迫っていく……。待望の第5巻。
さらば、佳き日6
桂一と晃が富山で迎える初めての夏。不意に落とされたハンナから桂一へのキスが、晃たちの関係にゆらゆらと波紋を広げていく――。波瀾の第6巻。
さらば、佳き日7
桂一が他の女性とキスをしていたと浩太郎から聞かされた晃はわだかまりを抱えながらも、桂一に何も言い出せずにいた。その間も、珠希は失踪した晃たちを探し続けていて――。
さらば、佳き日8
兄と妹、交わらないはずだったふたりの恋。「夫婦ごっこ」の結末は……。
ユア・マイ・サン

ユア・マイ・サン

人生に絶望した男と、亡き姉の子と暮らす女。出会うべくして、出会ったふたり。心ない親の下で幼少期を過ごし、やがて天涯孤独になった陽介。どん底で出会ったのが、亡き姉の子・ケンジと暮らすナツキだった。けれどーーー陽だまりのような日々は突然、手の平からこぼれ落ちてしまう。…そっくりな耳をした、陽介とケンジを残して。「さらば、佳き日」の茜田千が紡ぐ、残酷で温かいーー人生の物語。描き下ろし10ページ収録!
さらば、佳き日
富山・逃避の果・仮初の安息
さらば、佳き日 茜田千
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
不倫にしろ逃亡犯にしろ、逃避行と〈北〉はよく似合う。後ろめたさを抱える身には、人目のない北の冬はうってつけ、という事だろうか。 『さらば、佳き日』の兄妹は、二人で共に在る事を選び、住み慣れた故郷を捨て、親と友を捨て、雪の降る北陸へと向かう。 故郷が湘南地域であることは、6巻ではっきりする(江ノ島タワーが描かれている等)。きらきら明るい海沿いの道の描写は1巻から印象的だが、同じ様に美しい海が、北陸に来てからの描写にも出てくる。 5巻に出てくる「天晴」は絵から恐らく、雨晴(あまはらし)海岸。富山県高岡市にある、岩の景観が印象的な海岸。他にも古い日本家屋や庄川の花火大会などから、ここは富山県だと分かる。 意外と穏やかで明るい雨晴海岸にて、妹の晃は、自分と不可分な海を想う。まるで隣の兄・桂一の事を想うように。 ここでは冬の厳しい富山を、暗く扱うことはない。光ある穏やかな地で、優しい人々に受け入れられる「夫婦」は幸せそうだ……受け入れられる筈もない二人の秘密を、どこまでも抱えたまま。 (6巻の書誌情報で「富山」とはっきり書かれているので、間違い無いと思います。4巻で桂一が「福井……だったかな」と言うのは、彼のいい加減さのエピソードになっていますね)