萩尾望都の「一度きりの大泉の話」について
トーマの心臓」と竹宮惠子の「風と木の詩」が同じ少年愛の枠で話されることが多かったが「トーマの心臓」や「11月のギムナジウム」はそういうのじゃないだろうという判断していたのが間違っていないとわかって安心したよ
冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。