島元光夫の兄・島元信彦は、東京で弁護士になる夢を抱き、工場と廃液と汚職の街を出た。この街の不正を正すと意気込んで。しかし、右も左も分からない東京で都会の女に騙され、莫大な借金と遺書を残して亡くなる。そんな信彦の葬儀に、あろうことか信彦に貢がせていたという女性が現れた。初七日、四十九日、月命日……半年経っても変わらず訪れる彼女を、光夫は気にかける。そしてある日、光夫の前に現れた少年は意外な言葉をかける。「やっぱり前より強くなってる……河へ行って。お兄さんが泣いてる……」と。「花を抱いて」のほか、「シリーズ斎」から待望の単行本未収録作品4編を所収。心傷ついた人が運命の岐路に立つとき、謎の少年・斎が現れる。
MSビルの地下“ジグザグ”で、ギグ中に爆破事件に巻き込まれ死んでしまった3人。リーダー(雨宮彼方)、ちっちゃん(鳥遊千冬)、瀞宮(瀞宮伊周)は、昇天できず幽霊(ゾンビ)としてこの世をうろついている。「つまんない」を理由に、死ぬつもりで崖の上に立った中学生・るみね。落ちて目を覚ましたとき目の前には3人の幽霊がいた。彼らが見えるってことは自分も死んだということ?一番お洒落した姿で死んだつもりが、セットの乱れた自分の死体に大幻滅!!けれども3人の死者達の励ましに、幽霊ならではの楽しみを教えてもらう。笑って泣けて、ちょっとほっこりできるさちみワールド全開の怪奇傑作シリーズ「死者達は笑う」、第1話~第3話を収録。