あらすじ

大正13年、当時にしては珍しい自由恋愛で、国文学者・新平(しんぺい)と結婚した天才少女歌人・るい子(るいこ)。そして大学生の義弟・総二(そうじ)と同居しながら新婚生活をスタートしたるい子は、母に教わったばかりの料理を慣れないながらも作っていくが、味にうるさい総二から文句を言われてしまう。それでも「大丈夫」と微笑みながら料理に奮闘するるい子だったが……!?
懐古的洋食事情(1)

市川ジュンの代表作「陽の末裔」のキャラクターや彼らと関わる人々を主人公に、明治・大正・昭和の洋食にまつわるエピソードをハートフルに描いた人情グルメ浪漫。一目惚れした見合い相手・竜平(りゅうへい)と結婚した愛子(あいこ)は、素敵な台所を用意してくれた竜平のために、苦手だった料理作りを懸命に努力する。しかし実家の母に教わった料理も、義母に習ったお袋の味も、竜平に気に入ってもらえなかった愛子は……!?

懐古的洋食事情(2)

大正13年、当時にしては珍しい自由恋愛で、国文学者・新平(しんぺい)と結婚した天才少女歌人・るい子(るいこ)。そして大学生の義弟・総二(そうじ)と同居しながら新婚生活をスタートしたるい子は、母に教わったばかりの料理を慣れないながらも作っていくが、味にうるさい総二から文句を言われてしまう。それでも「大丈夫」と微笑みながら料理に奮闘するるい子だったが……!?

懐古的洋食事情(3)

欧風の慈善夜会を主催するハメになった望月(もちづき)伯爵家の若奥様・梅子(うめこ)。そして桜町(さくらまち)伯爵夫人の助言でその難しさを思い知る梅子だったが、愛する夫のために素敵な夜会を催そうと意欲を燃やす。そんな時、望月家の賄い方・哲(てつ)から、西洋料理の駆け出し料理人である弟・新(あらた)を紹介してもらった梅子は、新とアイデアを出し合い、望月家の庭で和洋混合のブフェ・パーティをする事に……!?

懐古的洋食事情(4)

昭和4年初夏、仕事が面白くてたまらない女性洋裁師・夏乃(なつの)は、見合い話を持ち込む母親から女の幸せは家庭にあると言われるが、仕事をやめたくないあまり気持ちが不安定になる。その後、お茶菓子を買いに出かけた夏乃は、仕事帰りに銀座で飲むソーダ水を思い浮かべながら、結婚したらそれが身近でなくなるのを悲しく思う。そして仕事で自立する女性の道が険しい事を実感し、涙を流す夏乃だったが……!?

懐古的洋食事情(5)

明治41年、高等女学校に赴任した英語教師・有馬(ありま)は、父親の財力で華族になった令嬢・佐和子(さわこ)が、級友達から“アイスクリーム姫”と呼ばれているのを不思議に思う。そしてアイスクリームの日本語である氷菓子(こおりがし)を、佐和子の父親の職業である高利貸しとなぞらえたのだと知った有馬は、人を寄せつけず孤立する佐和子をクラスになじませようとお茶会を企画するが……!?グルメ浪漫ストーリー、ついに完結。