あらすじ食事中に突然撃ち込まれた矢文に動揺する伊賀ずきん。なんとそれは、師匠・服部半蔵の首をいただくと予告する果たし状であった。そんな時、ただならぬ気配を感じた伊賀ずきんは、いきなり何者かに押し倒されてしまう。その者の正体は、半蔵の息子・零蔵(れいぞう)であった。似ても似つかない半蔵親子に伊賀ずきんが混乱する中、刺客達が襲撃を……!?
私はこの作品を、同じたなかのか先生の『タビと道づれ』『すみっこの空さん』の後に読んだので、最初ずいぶん単純化された画面に驚きました。しかし本作がギャグ作品であると分かり、読み進めていくと、このタッチがまあ笑わせてくれること。 本作は戦国時代の忍びのお話ですが、服部半蔵と名のつく人を、こんなにもテキトーに描いていいのか……と愕然。割と時代設定はきちんとしているのに、すぐに現代ネタを繰り出してみたり、マンガである事をネタにしたり(画像参照、3巻より)、枠組みをずらすメタな笑いが次々と。 物語は忍びでありながら冷徹になれず、心を捨てられないくノ一・伊賀ずきんの葛藤を軸に、美しさ・愛らしさ・友達・自己規定といった事柄について詩的に哲学的に考察しており、デビュー作にして既に「たな節」炸裂!ギャグ漫画にも関わらず読み応えがあります。 くノ一として適性がなさそうな主人公のドタバタコメディとポエミーな台詞のコンビネーションに、思わず吹き出したら負けです。いや勝ちか。