あらすじ魂の詩人・坂口尚が優しいまなざしで語りかける、詩情豊かな世界!!12種類の“色”をテーマに、流麗なタッチでそれぞれの人間模様を描き上げたシリーズ第2弾。飛行機事故で恋人・レーチェルを失った人気歌手、D・ジェローム。彼には忘れがたい過去があった。事故現場の瓦礫の中で見つけた青いイヤリングの光る彼女の耳へ、はたしてジェロームの歌は届くのか……!?「窓辺のふたり」のほか「ブルックリン日曜日」「錆びた鍵」など、人生の悲喜劇を綴った傑作短編集。
きっと誰が読んでも心に響く話が必ず一つは見つかる短編集ですね。絵もストーリーも詩的ですがコミカルな話もあるのでぜひ気負わずに読んでみてもらいたいです。悲しい話もありますが誰一人として不幸になっていないのが坂口尚らしい。この人の作品を読むと「純粋」という単語が思い浮かびます。子供の頃は誰だってそうだったと思いますが、大人になっても純粋な心を持ち続けていようとするその気持ちが自分にあるかどうかを問われているような気がするのです。下巻に収録されている「夜の結晶」で、鉱石や隕石みたいな美しい結晶のように生きるにはどうしたらいいか主人公が問いかけていたのが印象に残りました。