toi et moi。 フランス語で「あなたと私」を意味するこの作品。 女子校を舞台にした二組の「toi et moi」、凛然と咲く二輪の百合の物語です。 最初に登場するのは、クールで孤高で背が高くボーイッシュな緒河聖羅と白いレースの日傘を常に差しているかわいいお嬢様系の野瀬千草。彼女たちが最初にお互いを意識し出して関係し始めるようになるところを描いた第1話から、もう最高極まりないです。 この美しく咲く百合物語において、仲藤ぬいさんの画風はベスト。涼やかな聖羅の眼差しも、千草の可憐な表情や仕草も堪りません。 そして、2話から登場するもう一組の女の子同士。小説を書いている伊江島やえと、目立つ容姿が原因で過去に悶着があり役者をしている有栖川雪世。よりセンシティブな部分を縁に繋がる、やえと雪世の関係性がまた良いです。 そんな彼女たちに、クラスが同じであることもあって交流が生まれていくのも面白いところです。ふたりだけではそのままであったものが、外の風を入れることによって訪れる変化もありますからね。 繰り返しになりますが、仲藤ぬいさんの生み出すヴィジュアルがまずお強い。個人的に千草の外見が好みなのは言うまでもないですが、普段であればそこまで強くは惹かれないはずの雪世もまたかわいくて惹かれます。ひとえに絵力によるものでしょう。セピア調の表紙も絵の力があるからこそ映えます。 甘くもありほろ苦くもあり、1粒で2度美味しい百合です。読めばさまざまな滋養を心にもたらしてくれます。新しい季節が近づく今、読むのにぴったりかもしれません。
兎来栄寿
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