以前にも『登拝開運祈願 山伏ガール』をたなべみかさんによる、山伏エッセイコミック第二弾です。前作と併せて読むとより楽しめますが、こちらだけを単体で読んでも十分楽しめます。 前作から引き続き、私の故郷である吉野山に連なる大峰山、また『咲-Saki-』読者にはお馴染みの石鎚山なども登場するため個人的には読んでいる際の解像度が高くて人一倍楽しめている作品です。何を隠そう、先日も前作に登場した金峯山寺で朝の勤行を行い法螺貝を吹いてきたばかり。流石に本気の修行は心身的にもスケジュール的にも厳しいですが、修験道には慣れ親しんでいます。 多くの人は、山岳信仰や修験道というと何だか「難しそう」「堅苦しそう」といったイメージもあるかもしれません。しかし、本作は内容としては非常にラフで俗世の煩悩にも塗れているので(「妻がお遍路に行くから家でゲーム三昧できる!」とか、お酒飲みたいなど笑)、コミカルな描写に笑いながら楽しく読みつつ学べる内容となっています。 親から一生結婚できない娘と思われあらかじめ墓まで建てられていた筆者が、まさかの交際0日で山伏と結婚することになった顛末なども描かれており「自分の人生では起こり得ないであろうことを疑似体験できるエッセイマンガ」「未知の世界の知識を得られるマンガ」として非常に面白いです。 また、さまざまな山に登り寺社を巡っていくのですが、その風景の一枚絵が非常に緻密で美しいのも特徴です。実際に自分も行ってみて同じ景色を見たくなるほどの魅力があります。参考として、冒頭に登場する鳥取県三徳山の三佛寺奥院、通称「投入堂」の画像を引用します。 67歳にして、3000m級の山で数十kgの荷物や人間までを背負って運びながら登拝のサポートをしてくれる「強力(ごうりき)」の人の仕事ぶりなどは凄まじいです。 なお、本作では筆者がストレスが元でなってしまった「片側顔面痙攣」と向き合い手術へ立ち向かっていく姿も描かれていくのですが、その続きは筆者のブログで読むことができます。 令和となった現代日本にも連綿と伝わり息衝き続ける世界を、この本を通して知ってみませんか。
兎来栄寿
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