岩手県宮古市でフルートとピアノの教師をしつつ、コンサートなどの演奏活動も行っている音楽家の野崎千賀子(のざき・ちがこ)。彼女が震災に見舞われたのは、母を車で病院へ送ったあと、自宅でピアノの生徒が来るのを待っているときだった。襲い来る大津波の中、母も彼女自身も奇跡的に九死に一生を得たのだが、代々続いた実家も何もかも失くしてしまった母の悲しみと喪失感たるや凄まじく、そんな母のみならず、数多くの被災した人々の打ち沈んだ心を少しでも癒すために、自分にできることは何だろう? …そう思った千賀子は、音楽仲間3人で結成したユニット『Grazia(グラツィア)』で、各所での慰問演奏活動を開始するのだった。(※本コンテンツは合冊版「3.11あの日を忘れない~実録・女たちの東日本大震災秘話~」の内容と重複しています。ご注意ください)
高田晴美(たかだ・はるみ/60歳)は一人古びたアパートに住み、介護士として働いていた。すぐ近くのアパートには元夫の高田義尚(よしなお/62歳)が独居し、4人の子供たちは皆それぞれ自立して暮らしていた。晴美と義尚が別れたのは、義尚が商売で失敗し負債を抱え、あくまでその累が晴美に及ばないようにするための形式的なもので、二人の間には変わらず夫婦としての愛があった。しかし20年前、義尚は肺がんを患い大手術の末に片方の肺を摘出し、歩行困難な身体障がい者となって不自由な生活を強いられているという状況にあった。そしてそこへ襲いかかった未曽有の大震災――…多くのかけがえのない命が失われる中、晴美にとって最愛の夫の命もまた黒い濁流の中に呑み込まれようとしていた……。(※本コンテンツは合冊版「3.11あの日を忘れない~実録・女たちの東日本大震災秘話~」の内容と重複しています。ご注意ください)
住み慣れた家を、愛する夫を、そして大切な家族を、震災による大津波で一瞬にして奪われ、荒れ果てた瓦礫の中に呆然と立ち尽くす3人の女たち…その中のひとり、草花や樹木をこよなく愛する吉田正子(よしだ・まさこ)は、美しい植物を植えて壊滅した土地を華やかに彩り復活させたいと願うものの、辺りを埋め尽くす膨大な量の瓦礫に一旦はあきらめる。しかしNPO法人の蓮勺朝子(れんしゃく・あさこ)の協力と皆への呼びかけのもと、少しずつ自らの夢に向かって行動を起こしていく。そして残る二人の女性、石杜容子(いしもり・ようこ)と菅崎京子(かんさき・きょうこ)も、そんな正子の真摯な想いに共鳴し、活動を共にすることに…やがてそれは2500坪もの広大な土地いっぱいをお花畑にしようという『陸前高田メドウプロジェクト』へと繋がっていくのだった――…。(※本コンテンツは合冊版「3.11あの日を忘れない~実録・女たちの東日本大震災秘話~」の内容と重複しています。ご注意ください)