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高校生の月城大和は、ある日保健室で激しく咳き込む内田智章と出会った。幼い頃から喘息持ちだった内田は、見た目の繊細なイメージとは異なり水泳が得意で真っ直ぐな性格。そして主治医である槇村先生にずっと密かな思いを寄せていた。一途に槇村先生を思う内田の姿に月城の心は揺れ、いつしか誰も知らない内田を知りたいと思うように…長い両片想いを繊細なタッチで描いた瑞々しいストーリー。◆収録内容◆「アンノウン」全編/単行本版特典(スピンオフ「恋人ができた日」「少年の心音」)「黒髪ワンコ」✕「健気受け」
高校生の月城大和は、ある日保健室で激しく咳き込む内田智章と出会った。幼い頃から喘息持ちだった内田は、見た目の繊細なイメージとは異なり水泳が得意で真っ直ぐな性格。そして主治医である槇村先生にずっと密かな思いを寄せていた。一途に槇村先生を思う内田の姿に月城の心は揺れ、いつしか誰も知らない内田を知りたいと思うように…長い両片想いを繊細なタッチで描いた瑞々しいストーリー。◆収録内容◆「アンノウン」全編/単行本版特典(スピンオフ「恋人ができた日」「少年の心音」)「黒髪ワンコ」✕「健気受け」
『ろくぶんのいち ~ぼくたちの格差~』や「宝くじが当たったら、母が家を出て行った。」の神波アユミさんによる1冊完結のBL作品です。 喘息持ちの少年・内田と、病院が実家で吸入器の使い方に詳しかったことで内田と仲良くなり惹かれて行く月城の二人が主軸です。しかしながら、元々内田は主治医であり月城の従兄弟にあたる圭介に対して昔から憧れの気持ちを持っていて、月城にとっても圭介はとある理由から尊敬という言葉では足りないくらいに想っている相手であると、最初から少し拗れた関係性となっています。更に、途中からはそこに薔薇に挟まる女性も介入してきて、なかなかにヤキモキさせられる両方想い系のストーリーです。 ただ、背景や心情描写もかなり丁寧に重ねられるのでそれぞれのシーンの納得感も強く、全員の気持ちにしっかり共感していくことができました。物理的・心理的な閉塞感をアングルでしっかり描き表す演出や、文字の処理の演出なども良いです。 本作で特徴的なのは、昔の雑誌の2色刷りのような、黒い線を基調にモノクロのトーンも使われながらもミントグリーンとイエローの2色だけカラーとして通常のトーンを貼るような部分に彩色がなされる特殊な作画。元々の絵が美しいこともあいまって、これがクリアで淡い読感をより強めています。空や海やプールの碧、夏の碧、青春の碧、緑蔭の碧が澄み渡って伝わってきます。 時として内田は思考が負の方向に進んでしまい、それに伴って起きる喘息の発作は爽やかな色合いと画風とは裏腹に、非常に胸に迫る苦しさを感じさせます。私も幼い頃は喘息持ちだったので、内田の苦しみが多少は解ります。苦しむ内田に対して、自分が何をできるのか必死に考えた結果、月城が行う決断をどうか見届けてください。 とても細かいところで言うと、国籍不明の「お前らネット張るの手伝エーヨ」と言ってくるキャラと、ワンシーンでとても良いことを言っていく野球部のガタイの良い阿部くんが地味に好きです。 絵良し話良しで、直接的な性描写までは行かないライトめなBLなので、この系統の作品をあまり嗜まない初心者の方にも推せます。