あらすじきらの初恋の行方、庸子の傷心と希望、鮎川の熱。夏休みは過ぎ、水泳大会が迫る。真っ青な思いを、揺れる水面に乱反射させて、その夏が、終わる。気鋭の女流漫画家が、傷つきやすくもしなやかな“心たち”を繊細に描く、焦げつくような季節の物語、圧倒的終幕。
これが何の漫画なのか、というのが全く見つからない。しいていうなら、田舎の夏を構成するものが全部入っているような漫画です。ページの隅から隅まで余すことなく味わわないと損するような気持ちになる。中でも、涙を含めた水の表現の芸術性が高すぎる。アシスタントさんが居たとしてもあれをひたすらカリカリ描いてる風景は凄まじいものだと想像します。 過去に囚われ前に進めない姉・庸子と、毎日何かに傷つき何かに喜ぶ眩しい日々を送る妹・きら。そのコントラストを丁寧に、余所見せず、誤魔化さず、真っ直ぐに描いているという印象です。 夏が終わると思って焦って久しぶりに読み返しましたが、こんな傑作だったか…?と驚いた。最終話ひとつ手前の32話がいちばん好きです。 #マンバ読書会