「ぬすくれめ――バチが当たるぞ」妊娠をきっかけに、東北にある夫の実家に移住することになった咲は、別人のようにふるまう夫や、見知らぬ文化に不安を覚えながらも、懸命に馴染もうと努力していた。もう子どもなどいないその家で、“住み込みで子守りをしている”という、盲目の老婆・サダ。彼女が大切に扱っていた人形を拾ったところから、事態は急転する――。<オシラサマは、神棚や床の間に祀ること。大切にすればその家を守り―――粗末に扱えば、家が傾く>。
〈オシラサマは神棚や床の間に祀ること―…粗末に扱えば、家が傾く〉雪道で滑り、サダの大切にしていた人形を汚してしまった咲は、奇妙な現象を目撃する。
はりついて離れない黒い影、身内に訪れる災難――これは人形の祟りなのか、それとも自らのもたらす災いなのか――…? ひとり訪れた納屋で、咲は“オシラサマ”の正体にたどり着く。