「閉まらずの扉の噂、知ってる――?」女子大生の有美子には、悪い癖があった。「『彼』モテるから心配で…雑誌の撮影で他の読モとも絡んだりしてるし…」――『彼』って男友達のことだけどね。嘘はついていないもん、みんなが勝手に勘違いをするだけ。そう、私は悪くない。――そんな有美子が入部した映画研究会の部室には、いわくつきの一部屋があった。虚栄心から生まれた虚構がいつしか彼女を覆いつくす。人間の闇を描くサスペンスホラー!
「ぬすくれめ――バチが当たるぞ」妊娠をきっかけに、東北にある夫の実家に移住することになった咲は、別人のようにふるまう夫や、見知らぬ文化に不安を覚えながらも、懸命に馴染もうと努力していた。もう子どもなどいないその家で、“住み込みで子守りをしている”という、盲目の老婆・サダ。彼女が大切に扱っていた人形を拾ったところから、事態は急転する――。<オシラサマは、神棚や床の間に祀ること。大切にすればその家を守り―――粗末に扱えば、家が傾く>。
安産祈願で有名な神社の裏に、ひっそりと佇む古びた社。縁切りの神が祀られているというその場所を訪れた日から、理沙の身の回りでは不可思議な現象が起こり始める。